そうしてはじまったこの日2度目の『時間の止め方』。本当に残念だが、自分はここで歌われた原曲とは違う言葉たちを、正確にここに記すことができない。なぜなら聴いている間じゅう涙があふれて止まらず、とても歌詞を覚えることなどできなかったから。歌っていたのは、だいたいこんなことだ。

「止まっていた時間が動き出そうとしている。音と光で満ちたこの空間は、もうすぐ消えてなくなってしまう。でも今日のことを忘れないで。僕らはこれからも“いつもの場所”で待っているよ。また会いたいよ。みんなもまた会いに来てくれるかな」

汗と涙でボロボロになりながら、自分は思っていた。そんなの言われなくても、とっくにそう思ってるよ。ちゃんと伝わってるよ。当たり前じゃん。きっとふたりだってこのツアーを通して、より深くオーディエンスと繋がることができたと、強く感じていたはずだ。この日のステージを見れば、このツアーを見た人であれば、そんなことは誰だってわかると思う。でも、だからこそ、ふたりはあえてこんなに丁寧に言葉にして、メロディに乗せて、わたしたちに伝えずにはいられなかったのだろう。まったく、音楽に対してどこまで熱く、どこまで真摯なのだろうか。ああ、沖縄まで来てよかった。そして、やっぱりこのツアーを見なければいけないという、自分の確信は間違っていなかったのだと、妙に腑に落ちた気分になった。このときの自分の気持ちをもっと正直に書くと、こんな感じ。「ちくしょうスキマの野郎やりやがったぜ!! 最高だぜお前ら!!」

なかば放心状態でアンコールの手拍子を打っていると、「アンコール(ヒューイッ)アンコール(ヒューイッ)」という感じで、呼びかけと指笛の掛け合いが起こり、しまいにはお客さんが立ち上がり踊りだしそうになって笑った。あれ、登場がもう少し遅れていたら、本格的なカチャーシーがはじまっていたんじゃないかなあ。そんなおおらかな沖縄のノリに心がほぐれたところで、満を持してメンバーがステージに戻ってくる。そう、夢の時間はまだまだ終わらないのだ――と思ったら大橋と常田はなぜか『musium』仕様の野球のユニフォームを着ており、福岡ドームで行ったこのツアーのイベンターであるキョードー西日本との草野球試合に負けたという話を、またしても延々と話し続け、観客も嬉々として耳を傾けるのだった(この謎は後に解けるのだが)。

自分たちはどの曲にも、ライブでしか聴けないアレンジを施している。もしかしたら原曲のアレンジで聴きたかった人もいるかもしれない。でもライブから帰って「あ、ここ、ライブでは違うアレンジになってたな」なんて楽しんでもらえたら嬉しい。それで、またライブでしか聴けない音を楽しみに、ライブに足を運んでもらいたい。スキマスイッチにとってライブはとても大切なので、またぜひ見に来てほしい。晴々とした顔で語る大橋と、客席を優しく見つめる常田。会場から優しく暖かい拍手がおこる。

続けて大橋が「そしてここでひとつ発表がありまして……スキマスイッチ、秋にツアーやリます!」と発表すると、今度は全然優しくない狂喜乱舞の大歓声が! しかもふたりで全都道府県をまわる、と続けると客席は爆発! 来年10周年を迎える彼らにとって、新たな、そして大きな挑戦となる全県ツアー。こんな素晴らしいライブを見せられた後で、期待しない方が無理だろう。まったく、すごいサプライズを用意してくれたものだ。