アフレコは映像チームとの二人三脚の芝居
『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』など、これまで数多くのミュージカルに出演されてきた新妻さんだが、アニメーションの本格的なアフレコは本作が初めてとなる。
「アニメーションのアフレコは初めてでしたが、以前やったことのある洋画の吹き替えに近いなと思いました。アフレコ時にはもう絵があって、そこに私が声をのせるという状態だったので。」
芝居をするという点では変わらないが、今回新妻さんに託された表現は“声の色”のみだ。
セリフではない“…”や“ ! ”といったアニメーション特有の表現に戸惑いながらも、既にアフレコを終えていた声優の高橋さん・堀江さんの演技を参考に勉強したと言う。
「基本的に役者って、自分ではない人を演じるので、そういう意味ではあまり変わらなくて、逆に、絵でもう芝居が半分出来上がっているところに、寄り添うという作業が新鮮でした。映像チームと私の感性で、二人三脚でお芝居をしている感じでしたね。」
子どもたちに一流のスタッフが本気で作った作品を
「子どもたちが観る作品だからこそ、本気じゃないとダメだと思ったんですよね。中途半端なことやると子どもにはバレちゃったりします。本気でぶつかっていかないと伝わらないなって。」
悪役として登場する魔女ソルシエールの心境の変化を、声の変化で表現したという新妻さん。
プリキュアを捉えようとする冒頭では、声を低めに、揺れ動く心に合わせ歌のキーをあげていったというが、子どもを含む観客が、歌を自然に受け入れることができたのは、非常に広い音域とパワーを持った新妻さんだからなせる技。
「プリキュアは子ども向けの映画だけれども、作っているスタッフは一流のスタッフさんばかりです。そのゲスト声優として呼んでいただいた私も山本耕史さんも、普段大人向けのミュージカルの舞台で演じている現役のミュージカル俳優なので、かなり本気の作りになっています。ですので、ご同伴の親御さんたちにも心の底から楽しんでいただければ嬉しいです。」
子どもたちの選択肢のひとつになりたい
ミュージカルの第一線で活躍する新妻さんと『プリキュア』との接点は、プリキュアの大ファンである姪だという。
毎日テレビ電話をするほど仲良しの姪に、誕生日クリスマスなどのイベント毎に贈ってきたプレゼントは“プリキュアのおもちゃ”。
そんな新妻さんは本作に対し「子どもに親御さんがプレゼントできる“楽しいモノ”の選択肢のひとつ。“世の中にはこんなものもあるんだよ”っていう中の、素敵なひとつのサンプルになれたら。」と優しく語った。
「私がなにか決断をするときの基準は“好きか嫌いか”なんです。特に芸術の世界は、感性や好みの世界だと思うんですね。生まれて初めて映画の物語の中で歌ってる人を見た子が、わぁ、なんか胸がドキドキする!私も歌いたいって思うのか、歌のないプリキュアのほうが好きだわ!と思うのかは、その子次第。それぞれの感想を素直に持ってくれればと思いますね。」
歌は魔法、みんなで一緒に歌って欲しい
本作への出演は一生の宝物だという新妻さんは「子どもたちに一緒に歌って欲しい」と思いを語った。
「やっぱり歌は、みんなで歌うと楽しいんですよ。ひとりで歌っても楽しいけれど。エンディングに向かって、大団円の大合唱もあるので、幼稚園などでも歌ってもらえたら嬉しいです。お母さん達は作中に登場する子守歌も是非お子さんに歌ってください。素敵な歌がいっぱいあるので“歌って楽しいな”と思って頂けたら。」
完成した作品を見た新妻さんは、隣にいた森雪之丞さん(ミュージカルプロデュース・楽曲の作詞を担当)とともに号泣したという。
大人たちが本気で作ったミュージカルアニメーション『映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!』は、絶賛公開中。