2012年に世界65カ国・地域の15歳(義務教育終了段階)を対象にOECDが調査したところ、数学的リテラシーと科学的リテラシーは全般的に男子の方が高い傾向にあるそう。日本もその流れにあって、数学・科学の両リテラシーで男女差が大きな国でした。

ただ、アメリカでは科学的リテラシーは女子の方が高く、スウェーデンに関しては両方とも女子の方が高いなど、例外はあります。

日本には数学が苦手な女子が多いというイメージは、こういった調査の結果も影響しているのかもしれません。ただ、日本の女子は本当に数学が苦手なのでしょうか。最近では、理系に進む女子学生「リケジョ」が注目されています。

そこで、東京農工大学の守一雄教授らは、数学が嫌いと答える女子は本当に数学が嫌いなのかと、「ニセ数学嫌い」をあぶり出す調査(FUMIEテスト)を中学生対象に実施。その結果から、数学嫌いの女子は、「潜在的には数学のことを肯定的に考えている」ことがわかりました。

「女子中学生は『周囲から女性らしいと見られるよう理数科嫌いを装うことが予想される』と考察し、『ジェンダーステレオタイプによる女性としての望ましさから、周囲が理数離れを起こしやすい状況を提供したり、本人も理数嫌いを装ったりすることが、理数科への勉強の動機付けを減じることになり、その結果、成績も下がることになってしまう。(…)

こうして、理数嫌いを装うことが本当に理数にしてしまうのである』と結論づけている」女の子は本当にピンクが好きなのか

世の中の価値観として、「かわいい女の子=算数が苦手」といったものがあるため、自身の好き嫌いとは別に、それに寄せるかたちで数学を苦手としていく側面があるようです。もちろん全ての女性が当てはまるわけではありませんが、女子の数学嫌いは思い込みなのかもしれませんね。

前出の批判を受けたマテル社は、その後、バービーの新バージョンを発表。2012年にはピンクのノートパソコンをもった「ソフトウェア・エンジニアタイプ」の人形も発売しています。バービーは数学嫌いではなくなっているんですね。同国の女子の科学リテラシーの高さを考えると当然と言えば当然ですね。