今や離婚は珍しくない時代。どうしても一緒に生きていけないと悟ったとき、夫と別れることを選ぶのは確かに選択肢の一つです。
しかし、自分の思い通りに離婚できるかどうかは人それぞれ。すんなり離婚届を出せるふたりもいれば、長い期間争うことだってありますよね。
「離婚なんて簡単」と間違った認識を持ったある妻は、夫だけでなく周りの人まで巻き込む騒動を起こしました。
この妻の過ちとは何だったのか、お話しします。
1.家事を一切しない夫に愛想を尽かして
39歳のある女性は、会社員の夫と小学生の娘を持ち、仕事は短時間のパートをこなす毎日を送っていました。
夫の収入だけでギリギリ生活はできるけれど、「それだと私が好きなものを買えないから」と始めたパートでしたが、そこで働いている独身の男性社員と不倫関係になり、夫の目を盗んでは仕事のあとや休日に逢瀬を重ねていたといいます。
夫は仕事が忙しく帰宅は遅い時間が多いので、家事はほとんど妻の負担。彼と会いたくても家の用事をしなければならず、「これも何もしてくれない夫のせいだ」とストレスを感じていました。
ある日、友人のひとりが離婚したと耳にします。話を聞くと「有無を言わさず離婚届を書かせて、その足で役所に直行よ」と意気揚々と友人は語り、「離婚なんて簡単」と笑っていたそうです。
「有無を言わさずって、素直に書いてくれたの?」と女性が尋ねると、友人は「『書かないならアンタの上司にお願いして書かせる』って言ったのよ。そうしたら一発よ」と答えました。
「離婚は簡単」。友人の体験を聞き、妻の中にはこの言葉が残ります。
「“そうか、嫌なら離婚すればいいんだ”って気づいたの。
自分は仕事ばかりして家のことは何も考えてくれないし、私ばかり損しているみたいで我慢できなくなって」
とため息をつきながら妻は言いますが、「でも、離婚して生活費はどうするの?お子さんの親権は?パートのお給料だけじゃ暮らしていくのは難しいでしょう」と尋ねると
「彼がいるし、私には独身時代からの貯金があるからしばらくは大丈夫。
すでに一緒に暮らす話はしていて、娘ももちろん引き取るわ」と楽しそうな声が返ってきました。
2.離婚したい本当の理由がばれて
妻は、「とりあえずまずは離婚」と考えていたそうです。
「私が独身に戻らないと彼との関係を公にできないし、その後のことはそれから」と離婚することばかり気が向いていて、娘にも「お母さんと一緒にいてくれる?」と詳しい事情は話さないままでした。
そして、いざ離婚届を用意して記入し、夫に差し出したとき。
「もう我慢できないから、離婚してほしい」と言う妻に、夫は理由を尋ねます。それに対して「仕事ばかりで家事は全部私に押し付けるのが嫌なの。
私だって自由な時間がほしいし、その権利はあるでしょう」と妻は答えますが、「俺の仕事が忙しいのは結婚前から説明してわかっていたはずだし、生活費も全額入れている。
『家事は私がするから』と言い続けていたのはそっちで、『家のことをする時間がなくなるから』パートを選んだんだろう?」夫は正面から言い返してきました。
確かに、「本当は正社員がいいけど、それだと家事ができなくなるから」と言って今のパートを決めたのは妻自身です。
そのとき、「俺は、『家事だったら業者に頼むこともできるし、好きに働いてくれればいい』と言ったはずだけど」という夫の言葉を、妻は忘れていました。
冷静に夫の言葉を返す姿を見て、ひるんだ妻は思わず「ごめんなさい、好きな人ができたの」と「離婚したい本当の理由」を口にしてしまいます。
それを聞いた夫の態度は一変し、「俺に隠れて不倫していたのか!」と「怒りで真っ赤になりながら」怒鳴りました。
「不倫相手と付き合いたいから別れるなんて、ありえない。最低だな」と言い捨てると、夫はそのまま自室に行ってしまい、妻は「心臓がドキドキしてすごく苦しい」まま、眠れぬ一夜を過ごしました。