「官能アイス」と名付けられたアイスは、ふるさと納税・スイーツ部門1位を獲得した「十勝もーもースイーツ」から取り寄せたこだわりの一品で、身も心もとろけるような、エレガントな美味しさでした。

コンサート自体はおそらく初めて聴くタンゴ。なんていう曲なんだろう? と思い、曲リストが書かれた紙を見ても、曲名や作曲家などの情報は明かされていません。

代わりに、その曲を示すキーワードがキャッチコピーとして並んでいます。

そのコピーと今ここで感覚に訴えかけてくる音楽から感じ、そこに思いっきり没頭し、自分らしいストーリーを描きながら聴くことができました。

うっとりした気分になれ、身体が内側から潤った感覚に。曲を知った上で聴くのとは違う、自由で開放的なコンサート体験ができたと思います。

タンゴの官能に魅了されて…

五感を最大限に揺さぶるよう、プレイリストはコンサートが終わるまで伏せられ、観客に与えられるのは曲目のテーマだけ。そんな新感覚のコンサートはいかにして生まれたのでしょうか。

「官能コンサートを始めたきっかけのひとつは、2018年の夏、仕事のBGMとして流してみたタンゴでした。あまりの官能的な音に身悶えして、仕事がまったく手につかなくなったんです。音色に身体が反応したことに衝撃を受けました」(主催者の高木悠凪さん)

その後、官能に集中しながらタンゴを聴くようになり、官能的な音色のバイオリニストを探すうちに知ったのがバイオリニスト、会田桃子さんでした。

高木さんいわく「最高に悶絶した音色の持ち主」。早速コンタクトを取り、コンサート出演を依頼したのでした。そこで誕生したトリオは、バンドネオンの鈴木崇朗さん、ピアニストの三枝伸太郎さんという、まるで映画のワンシーンを見ているかのような音楽表現の優れた演奏家たちによって構成されています。

「私はアストロコーチ(占星術×コーチング)の仕事をしています。その活動の中で、日本では社会や家庭の“役割”に縛られている方が多いと感じていました。誰が決めたかわからない『~すべき』に囚われている…それは音楽を聴くときの姿勢にも、表れているように感じます。

知識をしっかり入れて、正しく聴く。それが『自分がどう感じたか』以上に優先されているように思うんです。でも、もっと気軽に楽しめる音楽があったっていい。閉塞感のある環境の中、これまでにない切り口のコンサートを実施して、思う存分楽しんでほしいと思ったんです」

開催日時は占星術をもとに「官能を感じやすい日時」から選択し、星の構成を見てテーマを設定。星の配置からくるイメージをキーワードに落とし込み、そこに曲を当てはめるところまでは高木さんの役目。その後、曲の構成を演奏家に見てもらい調整していきます。