『ROCK AND READ』の前身となった『READ』#001(宝島社/2004年)

――確かにヴィジュアル系のミュージシャンの話って独特ですよね。取材すると、他のジャンルのミュージシャンやタレントとは違った感覚を覚えます。

吉田:例えばパンクスの人とかって「カッコいいからやってるんです!」って直感的な人が多かったりするんですが、ヴィジュアル系の人はロジカルにカッコよさを語ってくれたりする人が多いんですよね。LUNA SEAとか、その典型じゃないかな。

X JAPANのYOSHIKIみたいにひたすらドラマチックな人も面白いですし。今はそうでもないけど、昔は炎上しそうなことも平気で言っちゃう人も多かったし(笑)。

――最近取材したなかで、印象的だったミュージシャンはいましたか?

吉田:DEZERTの千秋(『ROCK AND READ 060』に登場)ですね!後々ビッグになる人って、会った瞬間に「ちょっと怖いな」って思うぐらいオーラがある人が多いんですが、それを久しぶりに感じました。MEJIBRAYもいい意味でみんな怖いな。MiAは底が知れなくて、特に怖いですね。

――掲載されるミュージシャンは、毎号どのように選んでいるのでしょうか?

吉田:「変化や事件があったか・他の人とのバランス・直感」の3つのポイントで選んでいます。その号に載る人を選ぶことは自分の大きな仕事ですね。いかにバランスよく、相乗効果を生むように載せるかがポイントです。例えばDIAURAのyo-kaとMEJIBRAYの綴を同じ号(『ROCK AND READ 062』)に載せたんですけど、見事にお互いのインタビューにお互いの話が出てきて面白かったですね。

初登場の人たちは、「このぐらいの人気のバンドで……」みたいな足切りのキャパシティとかはないので、写真なんかから出てくるオーラに期待して、CD聴いてライヴ見て、良ければオファーって流れですね。

ベテランから若手まで載るので、違和感なく1冊に全員のインタビューをおさめるには、どういう人選をするべきかというところには本当に気を使います。全員に共通するのは、ただ売れてるって理由だけでは載せないということです。

――私は最新号の『ROCK AND READ 066』で初めて『ROCK AND READ』に携わったんですが、最初にインタビュイーについての考察を交えた取材依頼のメールを吉田さんに送っていただきましたよね。その内容がすごく衝撃的だったんです。ディスコグラフィーやバイオグラフィーに書かれない部分の、バンドとアーティストの本質的な変化を独自の視点で見ていらっしゃることが伝わってきました。

吉田:『ROCK AND READ』って新譜がリリースされるからインタビューが載る雑誌じゃなくて、事件や変化があったアーティストにその話をしてもらう雑誌なんですよ。だから、僕は “リリース”っていう軸じゃなくて、“事件や変化を追う”って軸でバンドを見てますね。

――取材の際に気をつけていることや、ポイントはありますか?

吉田:最近は『ROCK AND ROCK』がどういう雑誌か周知されてきてるので言わなくなったんですが、以前は初オファーの時に「他では言わないような本音を、ギリギリのところで話してください」「犯罪については書けません」って伝えてました(笑)。

インタビュアーについてはぶっちゃけ、ミュージシャンに希望を聞いてます。それを踏まえつつ、そのミュージシャンと遠すぎず近すぎず、本音で喋りやすそうな人にお願いする感じです。

カメラマンもライターと同じように決めているんですが、以前、その号に登場するミュージシャンが全員同じカメラマンを指名しちゃったことがあって(笑)。流石に慌てました(笑)。

――創刊10年の歴史の中で、そういった珍事件はいろいろとありそうですね(笑)。

吉田:そうですね(笑)。