吉田:でも事件や、印象深い出来事は沢山ありました。最近だと『ROCK AND READ 065』の、R指定のマモの初登場表紙掲載が印象深いです。
現状で言うと、『ROCK AND READ』の表紙を飾ってもらう人を選ぶときの線引きって、実は「武道館に立っている人」なんですよ。『ROCK AND READ』の表紙って、みんなの憧れの人であってほしいじゃないですか。そうなると、武道館かなって。
R指定のマモにはずっと取材のオファーしてたんですが、「表紙になるまで出ない」って断られてたんです。自分としては、まだ表紙の基準に達していなかったから載せたくても載せるわけにはいかなかったんですよ。でもこの間のライヴで武道館くらいインパクトのある幕張メッセを発表したので、発表があったライヴの中打ちで、「表紙ならやるって言いましたよね? 次号の表紙、お願いします。」って直談判しました。
『ROCK AND READ 034』のA9(Alice Nine)の将くんもそういう感じで表紙が決まったんですよ。まだ次号の表紙を誰にするか決めていない状態でA9の武道館のライヴを観に行って、すごく良かったので、次の日に「次号の表紙お願いします」って連絡しました。
――とてもドラマチックですね……!
吉田:でも10年やってると、良いドラマばかりではないですよ。ex.蜉蝣・大佑と黒の隠者達の大佑、VersaillesのJasmine Youがどちらも『ROCK AND READ』にインタビューが掲載された直後に亡くなった、ってこともありました。かなり衝撃的でした。当時感じた気持ちは言葉に出来ません。
――……本当にすべてのヴィジュアル系バンドのドラマと共に歩まれてきた雑誌だと思います。『ROCK AND READ』って、創刊時期もドラマチックな時代だったと思うのですがいかがでしょうか? 2004年は、the GazettEあたりのネオヴィジュアル系が徐々に売れ出したりと、シーンの1つの過渡期だったのかなと。
吉田:あんまりその辺は意識してないですね。ヴィジュアル系シーンの浮き沈みの話が好きな人は多いですけど、僕はあまり考えたことがないです。ヴィジュアル系って、常にずっとあるものというか、浮きはあっても沈みはないっていう印象なんですよね。
――2000年代前半ってウェブのニュースサイトがどんどん普及していって、音楽出版的にも過渡期だったと思うのですが、そこは感じてましたか?
吉田:それはすごく感じてました。僕が作っていた『BANDやろうぜ』って、記事以外で言うと、バンドのメンバー募集欄・バンドスコア・楽器屋の通販の広告が3本柱だったんで、インターネットの普及でその辺が全部変わってしまったんですよね。
バンドメンバー募集って、読者からハガキをもらって掲載が約3ヶ月後とかだったんですよ。今じゃ考えられないですよね。メンバー探し始めて3ヶ月経ってたら、もう解散しているバンドもいるぐらいでしょう(笑)。バンドスコアは良いとして、通販も、もちろん今はインターネットでできてしまうし。