MEJIBRAY

そうしたニュアンスを強く感じさせたくれたのが、本編ラストに演奏された『シアトリカル・ブルーブラック』だ。メロディアスでスピーディーなメタルサウンドから、多幸感のある歌で聴かせるサビへと突入するこの楽曲。

もはや、細かいサブジャンルは一切関係なしで、"ロック・ミュージック"としての普遍的な素晴らしさを有しているナンバーであり、だからこそ、ステージでこの曲を全力で観客へと届けるMEJIBRAYの姿は、とてもとても美しく見えた。

メト(Dr)

もしも、自分がティーンエイジャーの少女だったら、きっとこんなバンドに自分の思いを託し、その曲で、日常のフラストレーションを忘れ、何だか満たされない心の隙間を埋めようとしたのではないだろうか……? 不意にそんな思いが湧き上がってきたのも、この楽曲の巧みな構成と熱のあるパフォーマンス故だろう。

ラスト、メンバーが次々とステージを去った後に、メトがクタリと地面に座り込むと車椅子を押す黒尽くめの男が現れ、幕が降り本編は終了。

そして、途切れることのないアンコールの中、再び、幕が上がるとローブ姿の綴がゴシック調の椅子に座った姿で登場。重厚感のある『Agitato GRIMOIRE』、そして『剥落』へ。本編とは違い、アンコールでは一気に退廃的でデカダンな空気がステージを覆う。

綴(Vo)
恋一(B)

重厚感のある音と共に、バンドが作り出す"美"の世界に対して対峙を迫るかのようなステージが繰り広げられ、ファンの視線も釘付けに。ラストは、大量のスモークが焚かれメンバーの姿が白煙の中に消えると、再び、幕が降りた。終演。

この日は、ステージセットと同様に、過度な演出もエフェクトもなければ、余計なMCも一切なし。真っ白いキャンバスのようなステージに象徴されるように、どこまでもストイックなステージングを見せてくれた。

だからこそ、綴の変幻自在なヴォーカルや強靭でヘヴィなリズム、そして、技巧とキャッチーさを併せ持つギターサウンドをストレートに堪能することができた。ヘヴィメタルやコア系の音楽のファンならば、問答無用で心に響くし、その凝ったサウンドで楽しませてくれるであろうMEJIBRAYのステージ。

これからも音楽的深みを増していくであろうバンドの音がジャンルレスに、"ロック"としてより多くの人々に届くことを願いたい……そんな気持ちにさせられた説得力抜群のライブだった。

セットリスト

1.THE END
2.DiefiL
3.蜈蚣
4.Invisible Tower Maker
5.DE:SHOW
6.呼吸
7.悲哀
8.盈虧
9.DECADANCE -Counting Goats … if I can't be yours -
10.KILLING ME
11.月食
12.原罪の林檎
13.サバト
14.Negator NEGATOR
15.シアトリカル・ブルーブラック
16.Agitato GRIMOIRE
17.剥落

都内在住の極々平凡なサラリーマン兼、アニメ、音楽、プロレス、映画…と好きなものをフリーダムに、かつ必要以上に熱っぽく語るBLOG「さよならストレンジャー・ザン・パラダイス」管理人。永遠の"俺の嫁"である「にゃんこい!」の住吉加奈子さんと共に、今日も楽しいこと、熱くなれることを求めて西へ東へ。