戦闘で死んだり、ストーリー展開でバッドエンドになったりすると、14章へと送られます。もともと本作はバッドエンドが非常に多い作品で、死ぬと必ず14章に飛ばされることから、ファンの間では14章は「恐怖の14」としてネタにされていました。

選択肢を誤ると容赦なく14章に飛ばされるのですが、選択肢から「正解か不正解か」を見分けるのは難しく、初見だと勘で選んでいくしかありません。そのため、どうしても死んでは戻ってを繰り返す“死にゲー”になってしまいます。

ちょっと不満なのは、死んでから復帰するポイントが決まっていること。そのため、ある程度進んでからうっかり死んでしまうと、かなり前の章へ戻されることになってしまいます。

バッドエンドになるかどうかは運に頼る部分が大きいので、ここは死ぬ直前の選択肢に戻してくれてもよかったのになぁと思いました。

……ただ、死んだかどうかを自分で選択する場面では、“ズル”をすることもできます。正直に「14」をタップするのではなく、死ななかったことにすればいいのです。これはバグなどではなく、ゲームブックの雰囲気を強調するために“あえて”そうしているのだと思います。何度も死んでしまうようならズルをするのも一つの手でしょう。こういう地味な部分の再現が嬉しいですね。

ということで、全体的には非常によくできたアプリだと思います。そもそもゲームブックをわざわざ電子機器で遊ぶ必要があるのか? という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、懐かしかったり新鮮だったりでなかなか面白いです。

定価1,000円(5月31日まで600円)とちょっとお高いのが難点ですが、昔ゲームブックで遊んでいた人や、最近のRPGに飽きてきたという人にはオススメできるクオリティです。ユニバーサルアプリなので、一度購入すればiPhone、iPadの両方で遊べるのも嬉しいですね。どちらかといえば、iPadの方が大きさ的にゲームブックらしさが出るのではないかと思いますよ。

やまだい・ゆうき 映画、漫画、ゲームなどエンターテインメント関連の記事を中心に執筆するフリーライター。飲料では特にコーヒーとカフェオレをこよなく愛しており、これまでに数百もの缶コーヒーの感想を記録している。ブログ