【上海発】キヤノン中国の小澤秀樹社長は11月6日、BCNのインタビューに応じ、グローバル市場の中で「中国市場の重要性は増している」と述べた。中国政府が進める一連の市場開放政策に対して歓迎の意を示し、BtoB向けビジネスを中心に中国事業を拡大すると強調した。(上海支局 齋藤秀平) 小澤社長は「われわれは20年前から中国市場を重要視してきたが、中国ビジネスは年々、重要性が増している」とした。理由については「かつての中国は閉鎖的だったが、今は政府が市場の開放や知的財産の保護に積極的になっており、われわれのような外資企業にとっては、投資しやすい環境になっている」と説明した。
そのうえで「中国は、オフィス関連や医療関連の市場は拡大の途中で、これらの領域はチャンスが多い」とし、「ほかにも監視カメラや商業印刷、ファクトリーオートメーション(FA)、放送・映画関係などを含めて、BtoB領域の需要を徹底的に掘り起こしてビジネスを拡大していく」と語った。
特に注目しているのは、第5世代(5G)移動通信システムだ。小澤社長は「5Gによる高速、大容量、低遅延の通信は、ビジネスの領域をいろいろな面で進化させ、人工知能(AI)やIoTもスムーズに進化させるだろう」とし、「今後は、われわれが持っている製品と5Gをうまく連動させていくことに力を入れる。まだ具体的なことは話せないが、5Gは絶好のチャンスになると思っている」と話した。
これまでキヤノンの中国事業をけん引してきたカメラ事業は、キヤノン全体の中で最も大きな割合を占める。しかし、世界の状況と同じように、最大市場の中国でさえも「スマートフォンの台頭で停滞してきている」と小澤社長は認めた。
一方で「中国は14億人の人口を抱える巨大な市場で、3級以下の都市は開拓できていないところがまだある」と潜在的な需要を見込み、「全世界の撮影数はどんどん増えており、写真に対する関心は高まっている。カメラを使えば、難しい場所でもいい写真が撮れることを訴求すれば、カメラ事業はまだ伸びていくだろう」との見通しを示した。
具体的には「非常に伸びているミラーレスカメラとミラーレス用のRFレンズを軸に市場の開拓を積極的に進める」とし、ほかにも「カラビナ型のウェアラブルカメラや、写真を撮ってすぐ印刷できるカメラを出すなど、できることを徹底的にやっていくつもりだ」と意気込みを語った。