最近、多くの場面で耳にする不妊治療という言葉。とはいえ、これから不妊治療を始めようか……と考えている人ですら、はっきりと不妊治療がどういったものなのか理解している人は少ないのではないでしょうか?

今回は、不妊治療、妊娠出産のエピソード満載のコミックエッセイ『出産の仕方がわからない!』の作者、カザマアヤミさんにインタビュー。

思わず笑ってしまう、テンポ良いストーリーから読み解く、不妊治療とは?

なんで子どもが欲しいんだっけ? 不妊治療が辛すぎる

――『出産の仕方がわからない!』は不妊治療というテーマを描きつつも、思わずクスッと笑ってしまうようなエピソードが多く、サクサク読み進められる作品ですが、世間では「不妊治療は辛いもの」というイメージが強いように感じます。

カザマさんご自身が不妊治療中、精神的・肉体的に辛いことはありましたか?

カザマアヤミさん(以下、カザマ):精神的なことで言うと、子どもができないこと、というよりはこの治療がいつまで続くんだろう…というほうが辛かったですね。

「ふりだしに戻る」のマスがすごく多い、終わりが見えないすごろくを延々とやっているような感じで

肉体的なことで言えば、治療全般! とにかく痛いことが多くて辛かったのをおぼえています。

その中でも一番は採卵でした。

採卵というのは、卵子になる卵胞を育てる薬を注射し、育ってきたタイミングで卵巣に注射針を入れて卵子を吸い取るというものなのですが……。

十数回注射針を入れることになるのでそれで卵巣が腫れてしまうんですよ。それがとにかく痛いし、気持ち悪くなってしまったりで、採卵後は1週間ぐらいほとんど寝たきりでした。

でも看護師さん曰く、採卵で私ほどひどくなる人はそんなにいないらしいですよ(笑)

ただあの時はさすがに辛くて、自分は本当に子どもが欲しいのかどうか、真剣に悩みましたね。