2.「同居が前提」で多額の頭金を持ってこられる
38歳の男性は、婚活パーティーで知り合った女性とお付き合いすることになり、間もなく彼女の妊娠がわかり結婚を決めました。
当時、男性が住んでいたのは実家が残してくれた古い一戸建て。老朽化が進んでいるうえに間取りも狭く、家族で暮らすには不向きだったといいます。
「それで、思い切って賃貸のアパートに住もうと妻に言ったんですね。
家はお金が貯まったら取り壊して新築を建てればいいし、俺の仕事はまだ昇給が期待できるから妻がしばらく働けなくても大丈夫と話しました」
それを聞いた妻は、
「私のほうはあまり貯金がないし、家を建て直すといってもまだまだ時間がかかるよね?
それまでの家賃が無駄になるし、どうせなら今すぐ新築にしてゆっくり子育てがしたい」
と返してきたそうです。
いわゆる高齢出産になる妻の、育児や新生活に対する不安は男性にも理解できました。ですが、今すぐ建て直したくてもお金がないのが現実で、
「ローンを組むにしても、妻が復職するまでの生活費を考えたら貯金がどんどん減っていくのが恐ろしい」
と男性は電卓を手に頭を悩ませていたそうです。
ところが、ある日妻の両親が訪ねてきて
「娘から話は聞いた。
せっかく土地があるのなら、すぐ取り壊して新しく家を建てるのが正解だと思う。
もちろん私たちも援助するから」
と申し出てくれます。
男性はびっくりしたもののお礼を言いますが、問題はその後に続いた
「私たちと同居するのなら、○百万円の頭金を出せる」
という言葉でした。
「要は、お金を出すから同居させろってことですよね。
確かにあちらのご両親も高齢だし、いずれはそんな話も出るだろうけど、今はまだ俺たちもふたりで過ごした時間って短いんですよ。
できれば彼女と子どもと水入らずで過ごしたいのが本音でした」
男性はそう言いますが、この気持ちを妻に打ち明けると
「私も同じだけど、両親がいてくれればこれから助かることも多いだろうし、できれば受け取ってほしい」
の一点張り。
対して、男性の実家のほうはそれだけの金額は出せず、この話をすると
「新婚からあちらの親御さんと同居じゃ、俺たちは行きづらくなる。
でも、出せないなら仕方ない」
と「早々に諦めムード」だったそうです。
すでに彼女のお腹には新しい命が宿っていて、これから自分も生活は一変する。
せめて新婚くらいは家族だけで過ごしたいけど、彼女自身が親との同居を望むのなら、それに反対するのは夫婦仲にも影響するかもしれない。
男性は悩んだ末に彼女の両親の提案を受け入れます。
ですが、いざ新しい家が建って子どもも無事に産まれ、彼女の両親との同居生活が始まると、
「間取りは好きなように決めさせてくれたので住居スペースは分けたけど、やっぱり“妻の両親”って気を使うことが多くて。
うちの親は遠慮して孫に会いに来ることもないし、なんだか孤立無援な気持ちです」
と理想からは遠い新婚生活に早くも疲れを感じたそう。
そんなとき、会社の取引先の女性に家庭の状況を愚痴ったことで距離が縮まり、家に帰りたくない気持ちから妻に嘘をついてこの女性と過ごす時間が増えました。
「産まれた子どももかわいいし、妻のことも愛しています。
でも、家に帰ると彼女の両親が子守をして妻はゲームで遊んでいることもあって、文句が出かけるけど言えないんですよね。
結局、俺はこの人たちのおかげでこの家に住めているんだって引け目があって」
と、男性は暗い声で話していました。
妻に隠れて会っている女性とは、今のところ“友人”としてプラトニックな関係が続いています。
ですが、このバランスもいつ壊れるか、家庭へのモヤモヤから不倫に走りそうになる自分に苦しむ男性は、今も
「やっぱり無理を言って賃貸にすれば良かった」
と肩を落とします。
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「実家の格差」は、結婚生活の深いところまで影響することがあり、それに抗えない男性は鬱屈した心を抱えて過ごすことになります。
妻に打ち明けたくても、プレッシャーやプライドが邪魔をして素直になれず、ストレスが溜まればおかしな方向で発散したくなることも・
自分ではどうしようもないことだからこそ、モヤモヤの残る現実はより苦しさを覚えるもの。
ですが、道を踏み外す前に家庭のことは妻としっかり向き合うのが誠意だと、筆者は強く思います。