「どこへ出しても恥ずかしくない子」に育てようと日々、子育てに奮闘してきたのに…。
子どもが大人になって「あの人、育ちが悪いわよね」と言われてしまったら、親としては凄く悲しいですよね。
でも、日頃の親のちょっとした後ろ姿や、子どもの前で見せている言動や対応が、そのような大人に育ってしまうきかっけになっていることがあるのです。
『1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話しします。
「育ちがいい・悪い」の意味
実は、育ちがいい・悪いというのは「経済的に裕福な家庭に育ったかどうか」ということではないのです。
“氏より育ち”という言葉にも表されているように、家柄や身分よりも、育った環境やしつけのほうが、人間の形成に強い影響を与えます。
「育ちが悪い」と感じた実例
挨拶をしない
以前、ニュースにもなったことです。
神戸のマンションの管理組合の会議で、小学生の子を持つ住人から 「知らない人に挨拶されたら、逃げるように教えているのでマンション内では挨拶をしないように決めてください。
子どもには、どの人がマンションの人かどうかは判断できない。教育上困ります」との提案がありました。
年配の住人からも「挨拶しても挨拶が返ってこないので、気分が悪かった。お互いにやめましょう」と意見が一致し“挨拶しないルール”が決まりました。
物議をかもしたニュースでしたが、こんなことをしていたらマナーのなっていない子どもが育ってしまうと思います。
そして、むしろ普段挨拶をする関係があるからこそ、子どもが怖い目にあったとき、赤の他人でも助けてくれるのではないでしょうか。
さて、私はマンションに住んでいるのですが、交流がなく名前も知らないのにエレベーターや廊下で会ったとき「おはようございます!」「こんにちは!」と私より先に挨拶してくる小学生と、ムスッとしていて黙っている小学生の2タイプいることに気が付きました。
数日後、その原因がわかりました。
いつもダンマリを決め込んでいる子どもが、親子でエレベーターに乗ってきました。私が会釈をしても「特に家を行き来していないでしょ」の態度で、そのママも挨拶をしないのです。
その様子を見て「ああ、この小学生はこの親の元で育てられているから、挨拶ができない子に育ってしまっているんだな」と思いました。
その子どもの手には、学習塾用のカバンが握りしめられていましたが、「勉強ができるようになっても、挨拶さえ出来ないのはどうなのかな」などと感じてしまいました。
家庭内でも、食事前にママ自身が作ったものに「いただきます」と言い、夫婦間など家族の間でも「いってらっしゃい」「ただいま」「おはよう」「おやすみなさい」と声をかけあう、そんな大人の姿を見て、子どもに自然と挨拶の習慣が付いていきます。