新型コロナウイルス感染症の影響が各所に出ている。小売店では、「店員がつり銭を素手で渡した」と憤り、トラブルに発展するケースもあるという。飛沫、接触で感染するといわれているので懸念は理解できるが、トラブルは避けたい。そこで、買い物をするときに少しでも接触の可能性を下げるため、キャッシュレス決済の活用をおすすめしたい。
新型コロナウイルス感染症は、飛沫や接触で感染するとされている。つまり、買い物をする際は店員との会話やつり銭の手渡しなど、感染リスクを完全に回避するのが難しい。近ごろは、店員がマスクを装着する、レジに透明なビニールカーテンを設置するなど、飛沫に関する対策が取られているが、限界はある。
特に、つり銭は手で渡すケースが多く、店員がビニール手袋を装着したり、トレーを使って間接的に渡したりしても、いつ他の客の手を触ったか、あるいは他の客が触った金銭を手に取ったかは分からない。現金で買い物をした場合、接触するリスクは避けることができないのだ。
一方、キャッシュレス決済なら、接触の回数を極力減らすことができる。中でも、PayPayやLINE Payなどのスマートフォン(スマホ)決済サービスなら、自分以外が触らないので安心だ。電子マネー(ICカード)もタッチするだけで決済できるなら、接触の可能性は低い。クレジットカードもキャッシュレス決済ではあるが、タッチ式ではない場合、一度店員に渡す必要がある場合が多いので、接触する可能性は現金とほぼ変わらない。
なお、スマートフォン決済サービスで支払う場合は、2通りの方法がある。ひとつは自身のスマホに提示したコードを店員にリーダーで読み取ってもらう方法、もうひとつは店舗が提示するコードを読み取って支払う方法だ。店舗によって異なるが、いずれの場合も店員と接触する機会はない。
キャッシュレスはお得
キャッシュレス決済には、接触機会を減らす以外にも、現金よりお得に買い物できるというメリットもある。サービスごとに多少異なるが、クレジットカードやスマホ決済に備わっている「還元」という仕組みだ。現金の場合は、支払った分だけ資産は減るが、キャッシュレス決済なら1%前後の金額がポイントや電子マネーで戻ってくるのだ。さらに今なら、国が「キャッシュレス・消費者還元事業」を展開しており、対象店舗では5%、フランチャイズは2%の還元がある点も見過ごせない。
現金で支払う際もポイントカードを提示すれば、ポイントは戻ってくるが、現金とは別に管理する手間がかかる。その点、キャッシュレス決済なら一度の手間で、ポイント使用も支払いも済ませることができる。とりわけスマホ決済は、電子マネー残高と特典の残高(ポイントと同じ扱い)をアプリ上で一括管理できるので手軽だ。ICカードの場合は、「おサイフケータイ」対応のスマホなどと連携すれば、物理カードを所持する必要はなく、荷物を減らすことができる。
デリバリーやテイクアウトの活用
感染拡大の防止に向けて、3密を避けるためにも飲食店のデリバリーサービスやテイクアウトサービスも注目を集めている。これらを利用する手段として使い勝手がいいのは「LINE」だろう。デリバリーサービス「LINEデリマ」とスマホ決済「LINE Pay」を同一アプリ上で展開ており、登録する店舗数も多い。LINE Payは「出前館」「Uber Eats」などの支払いに対応している点も強みだ。
また、各飲食店ではデリバリーサービスやテイクアウトを対象にしたキャンペーンを展開している。感染拡大を防止しつつお得に買い物をしたい場合は、ぜひ活用してほしい。買い物をすることは、売上が減少している店舗の存続を支えることにもつながるので、積極的に使っていきたい。
スマホ決済は「使いにくい」といった声もあがっているが、感染拡大防止に向けた接触機会の低減には役立つ。家にいる時間が長いこの時期なら、しっかりと使い方を確認することもできる。その上お得なので、普段使っていない人も、この機会にチャレンジしてみるのがオススメだ。(BCN・南雲 亮平)