1月からCMに起用している「葵わかなさん」のパネルと並ぶ「mineo」の上田晃穂グループマネージャー

大手キャリアに比べ“手頃な価格”と、使い方に合わせてプランや端末を選択できる“自由度”が支持され、利用者が増加しているSIMフリースマートフォン。サービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)も続々と登場し、2017年はますます普及することが予想される。当初は価格・通信速度が主な比較対象だったが、現在は市場が成熟し、他社にない独自の価値を提供できるかどうかが競争の軸になりつつある。

変貌するSIMフリースマホの行方はいかに。今回、市場の最新動向を探るために、各種調査で高い満足度を獲得する携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」を直撃。事業を統括するケイ・オプティコムの経営本部 モバイル事業戦略グループ 上田晃穂グループマネージャーに、市場の今と未来を聞いた。

市場構造が大きく変化、最近では女性の比率が3割以上

―― 「mineo」がサービスに参入したのは14年6月ですが、現在に至るまでの経緯を教えてください。

当時はNTTドコモの回線を利用したMVNOが多数でしたが、「mineo」はauの回線でサービスをスタートしました。しばらくはAプラン(au回線)だけでしたが、15年9月にDプラン(ドコモ回線)を追加し、個人向けのキャリアとしては初めてマルチキャリアになりました。ユーザー数は右肩上がりで伸びていましたが、爆発的に拡大したのは16年に入ってからです。認知度が高まり、1月13日時点で契約数が50万回線を突破しました。

―― CMや広告で目にする機会が増えました。ターゲットは変化してきていますか。

立ち上がりはデジタルリテラシーが高い層、具体的には30~40代男性がメインでした。自分でサービスを比較検討できるような方です。それが、最近では幅広い層の方にも関心を示していただいています。CMや広告を増やしたのも、認知度を上げ、安心して「mineo」に加入してもらうためです。

―― 若い世代に強くアプローチしているように見受けられます。

「mineo」の調査では、20代の男女、全年齢では女性の比率が上がってきています。ここ最近の新規契約者女性の比率はすでに3割を超えています。ですから、この層を意識したマーケティングは重点的に行っていますね。

ユーザーの視点は「機能比較」から「安心の追求」へ

―― 裾野の広がりで、ユーザーの悩みや疑問も変化していますか?

黎明期のユーザーは機能重視の方が多かったので、スペックを全面に出して訴求していましたが、現在は「自分で調べるよりは誰かに勧めてもらいたい」というニーズが出てきました。リアル店舗での取り扱いはもちろん、端末故障時のサポート、セキュリティソフトの提供など、安心感を醸成できるように心がけています。

また、サービスを知る・契約するきっかけも変化しています。特に女性は、口コミを重視する傾向があります。自分で調べてというよりは、知人や友人など誰かに勧められて、検討して加入するというケースが増えています。