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 1933年に製作された特撮映画の古典『キングコング』から数えて、通算8作目となる『キングコング:髑髏島の巨神』が3月25日に公開される。今回は舞台を1970年代に移し、コングの故郷である髑髏(どくろ)島でのサバイバルを中心に描く。公開を前に、カメラマンのメイソン・ウィーバーを演じたブリー・ラーソンが来日し、今までとはひと味違うヒロイン像やキャラクターに対する思いなどを語った。

-実際にはいないコングを相手に演技をするのは大変でしたか。

 コングはこういう顔をしているのかなと頭の中で想像し、イマジネーションを膨らませながら演じました。ピンク色のテープが貼ってあるグリーンのスクリーンに向かって、それに触れたり、それを見たりしながら演技をしました。ですから、出来上がった映像を見るまでは自分がキングコングの映画に出ているという実感がありませんでした。映像を見た時は本当に驚きました。

-今回はアクティブなカメラマン役で、激しいアクションシーンも多かったですね。

 毎日10時間ぐらい、登ったり、走ったりを繰り返したので、疲れ果ててしまいました。やっと2時間ぐらい寝たかと思うと、また同じことの繰り返しで、それを半年間もしていたわけです。ところが、少し休むとまた本来の自分に戻れました。肉体はサバイバルしたいという欲求を持っていることに気付き、私の体って結構すごいんだなと思いました(笑)。『ルーム』の時は精神的なトレーニングをしましたが、こんなに体を使う役は今までやったことがありませんでした。でも、肉体的にも精神的にも、限界を超えるところまで自分を持ち上げてくれるのがこの仕事の素晴らしいところです。今回は本当にやって良かったと思いました。

-これまで作られたコングの映画は見ましたか。

 昔の『キングコング』は以前見ましたが、今回の撮影前にはあえて見直しませんでした。見てしまうといろいろと影響を受けてしまうと思ったからです。前作とは関係なく自由に演じるということをキープしたかったのです。

-演じたメイソンのように、何か大きな壁にぶち当たった時、乗り越える方法はありますか。

 私は、ユーモアを持つことが一番いい方法だと思います。自分を解き放つためには泣くか笑うしかないけれど、私はなるべく笑って吹き飛ばそうと考えます。また、困難から離れるのではなく、近づいて立ち向かうことが大切だと思います。

-今回は1970年代という、自分が生まれていない時代が舞台でした。何か事前にリサーチなどはされましたか。

 今回はベトナム戦争の写真を見たり、当時の音楽を聴いたり、当時の女性のライフスタイルについて書かれたものを読んだりしました。キャラクターを作る時は、いろいろな角度から作っていかなければならないといつも思っています。

-メイソンとご自身が似ていると思うところはありましたか。

 どのキャラクターにも、少なからず自分自身を投影して演じている部分があります。それとは逆に、キャラクターを演じることで自分のことが分かってくることも多いです。今回のメイソンというキャラクターからは、自分が信じていることを声に出すことがいかに大切なのかということを学びました。今後はいろんなジャンルの映画に挑戦したいです。大作も低予算の映画もどちらもやりたいですね。私は、バランスが取れていないというのが好きなんです(笑)。

-では、最後に日本の印象をお願いします。

 日本は大好きな場所の一つです。日本にいるとほかの所では感じないような安らぎを覚えてホッとします。この映画の続きについては、私も皆さんと同じぐらいしか知りませんが、もしうわさ通りに『ゴジラ対キングコング』を作るなら、絶対に日本で撮影してほしいですね。そうすれば長い間日本にいることができますから(笑)。

(取材・文/田中雄二)