ラプンツェルを塔から連れ出す大泥棒! ギャップがヤバい「フリン・ライダー」
こんなお話をご存知でしょうか。
「ディズニーで一番魅力的な男性キャラクターを生み出すために、ディズニーの女性スタッフたちが各々理想の男性像を出し合う会議」が行われていたとのことです。
その名も「Hot Guy Meeting」、直訳すると「良い男会議」です。
こんなにワクワクする会議名、他にありますでしょうか。
壁一面に貼られたフリンのコンセプトイラストを見ながら、「タレ目はダメ 太り過ぎ えくぼが変」など、意見を出し合っていたそうです。
この映画の監督、ネイサン・グレノとバイロン・ハワードは男性なのですが、彼ら二人の意見はことごとくダメ出しされたとのことです。
『塔の上のラプンツェル』Blu-ray版にのみ収録されているメイキング映像を見ると、監督お二人がなんとも言えない表情をしているのを見ることができるので必見です。
そうして生まれたキャラクターが、ラプンツェルを塔から連れ出す大泥棒、「フリン・ライダー」です。
艶のある豊かな髪に、がっしりとした体格。
とろけるような甘い声にあたたかな茶色の瞳。
まさに「ディズニーイチの色男」の名を欲しいままにするフリンに、うっとりする女性も多いかと思います。
とにかくギャップがずるい男、フリン・ライダー
そんな彼ですが、私が思うフリンの魅力は、そのギャップにあると思います。
フリン・ライダーとは、彼の本当の名前ではありません。
彼の本名は、ユージーン・フィッツハーバードという、高貴な生まれなのでは? と思いたくなるような名前です。
彼の生まれについては、『ラプンツェル ザ・シリーズ』の方で是非確認して見てくださいね。
ユージーンがその名前をラプンツェルに明かすシーンがあるのですが、そのシーンはどんどん水位が上がる洞窟に閉じ込められ、絶体絶命という状況です。
そんな事態を招いてしまったことに、謝罪と後悔の涙を流すラプンツェルに対して、彼はずっと秘密にしていた自分の名前を打ち明けます。
なぜ、このタイミングで彼は本当の名前を打ち明けたのでしょうか。
死を目前にしたとき、本当の自分を、誰かに知ってもらいたかったのか。
ただ単に、目の前で泣いている女の子の涙を止めたかっただけなのか。
どちらにせよ、いい加減でチャラいイメージのフリンが、優しく思いやりのある、どこか心に寂しさを抱えた男性だとうかがい知ることができます。
その後のシーンで、フリンは自分のことを「親の顔も知らない可哀想なユージーン」と彼は言っています。
親の顔も知らない、何も持っていない、それなのに毎晩小さい子達に本を読んでやっていた。
彼の言葉から想像するに、幼少期の彼は孤児院のようなところにいたのでは、と思います。
本当の名前を隠して、本の中のヒーローにあやかった名を名乗り、泥棒として生きてきた彼の人生が、どれほどの寂しさを持っていたのか、想像するに容易いと思います。
気の向くまま、独りで生きてきたフリンにとって、この世界すべてに目を輝かせるラプンツェルとの出会いは、どれほどの救いで、温もりだったのでしょうか。
そんな純真無垢なラプンツェルとの出会いによって変わっていく、または本来の心優しい男性に戻っていくフリンの姿は、まさにギャップ萌え。
本当に、ずるい男です。