民間警備会社の職に就いた元警察官を演じる窪田正孝

 4月8日からスタートするNHK土曜ドラマ「4号警備」。主人公は民間警備会社の職に就いた元警察官の朝比奈(窪田正孝)。相棒の石丸(北村一輝)とともに「4号警備」の任務を命じられた2人をメーンに、アクションやユーモアを交え“身辺警護”(ボディーガード)の最前線を描く物語。NHKの連続テレビ小説「花子とアン」で木場朝市役を演じてブレークを果たした窪田正孝が共演者とのエピソードや役作りに対する思いを語った。

ー主人公の朝比奈の印象と役作りで気をつけていたことはありますか。

 1話目では主人公の朝比奈は特に言葉が強いです。人に対して白黒はっきりさせるというかアウトローなタイプですが、なぜそうなったのかだんだんと解き明かされていきます。朝比奈は何でもストレートに言ってしまいまですが、人がなかなか言えないことをその人のためを思って言っているので、決して間違ったことは言いません。なので「このセリフを大切にしなきゃいけない」ということを思いながら演じました。そして、作品の全体を見たときに朝比奈のポジションがブレてはいけないと思っています。軸がブレてしまうと見る方の主観が分からなくなるのでブレないように意識しました。

ー30分番組なのでとてもスピーディーな印象ですがこの作品はどのようになると思いますか。

 撮影は基本、ワンカット長まわしで行うことが多かったです。1話に関してはセリフにフォーカスするというよりもスピーディーに全体像を見せるようなイメージで描かれています。芝居の技術の話になってしまいますが、30分のドラマなのでセリフがテンポよくいかないと30分に収まらなくなってしまうんです。通常、相手のセリフがあってから言葉のキャッチボールをしなければなりませんが、相手の言葉を受け取る前にセリフという名のボールを投げなければならない…。特に序盤は探りながらでしたので「これでいいのかな」と葛藤することもありました。

ー今回演じる上で一番大切にしていたことはなんですか。

 バディー(コンビ)を組む北村さん(石丸役)とは2人で一つの関係性を描かなければなりません。互いに傷ついた過去を持っているのでトラウマや挫折感が見え隠れするということを言葉の節々に表現し、役どころの背景を大切に演技しました。

ー座長(主演)として現場の見方は何か変わりましたか。

 基本はどちらかというと一人でいたいタイプですが、今回は自分が主役という立場で、現場の要望や人の気持ちなど(出演者やスタッフの)声が耳に入ってくるのでスタッフさんと話したり、現場がスムーズに進むよう心がけました。自分が座長という立場ではありましたが、北村さんからたくさんのアドバイスをいただいて助けていただきましたので、この作品がバディーもので良かったと感じることも多くありました。

ー今回、アクションシーンがふんだんに使われていますが何か準備をしましたか。

 特に何もしていませんが、前もって相手の方と時間を作ってアクションの手合わせをしたり、演出家の方から指導を受けたりしました。今回はたくさん練習する時間をいただけたような気がします。監督からアイデアがどんどん出てくるので、それに応えるようにしていたら良いアクションシーンが撮れたように思います。

ー役者としていろいろな要求をこなしていく自信はありますか。

 自信はないです。というよりも、与えられたことを「やるしかない」といつも感じていて今でも下積みとだと思って努力する、ただそれだけです。アクション俳優になれると思ったことはないですが、アクションの要望があればなんでもこなしていきたいと思っています。

ーオフの日は役作りをする上で何かを吸収したり、どんなふうに過ごしますか。

 オフの日ではなく普段の現場の中で会話や仕草などの刺激を受け、特に特徴のある人は記憶に残るので役作りの参考にさせてもらうこともあります。

 一人の時間がないとダメなタイプなのでオフの日は自分だけの時間を作るようにしていて、近場の海にドライブしたり、そのときにエンジンの音を聞いたり、横断歩道を渡る家族を信号待ちのときに見たり、自分だけの空間で社会の何気ない日常を感じたりするのが好きですね。そういう日常も役者として知っていなければならないので。また自分の家族に会ったりすれば気が張っていた部分がほぐれるのでほっとしたり、(家族が)いてくれて感謝です。

 今回は人を守るのがテーマになっていますが、自分は人を守るというより守られているとつくづく感じます。守られたいなら誰かを守るべきだし、自分を信じてほしいなら誰かを信じるべきだと感じましたね。

ー相棒の北村一輝さんから影響を受けたことは?

 北村さんの近くで主役を演じさせてもらったのはすごく大きいことだったと思います。北村さんのように冷静に物ごとを見られていない自分を感じたり、作品を良くするためにこれまでのどの作品よりも多く意見交換をしました。