BugLugは、それまで完全な攻勢が続いていた。『文明開化』『HICCHAKA×MECCHAKA』『骨』『JUGEMU』と、作品をリリースするたびに世界観を強める楽曲を次々と発表。ワンマンライブではキャパを順調に上げていき、赤坂BLITZやZepp DiverCityなどの大きな会場も経験した。誰もが「BugLugは上り調子だ」と感じていたことだろう。

しかしTDCHでのワンマン当日、ライブを終えたメンバーたちは問題意識を感じたようだった。

メンバーたちが目指した「会場の隅々まで“希望”というテーマを届けるライブをする」ということ。目指すところを達成できなかったという思いがメンバーの気持ちに引っかかる。実際、当日のライブはプロジェクションマッピングを使った演出や攻めたセットリスト、いつもとは違う会場の雰囲気作りなど、素晴らしいものだったにもかかわらず。

活動5年目を目前にして、周囲からの期待がプレッシャーになっていた部分もあっただろう。ライブを終えた彼らは、ライブバンドとしての方向性を悩んでいるように見えた。

しかし、BugLugというバンドは、決して悩んだままでいることはない。彼らの曲にも歌われているように「何度だって何度だって立ち上がる」のだ。

再び世の中へと立ち向かう決意を固めたBugLugの、2015年からの攻勢が一番表れているのが2ndフルアルバム『HAPPY BIRTHDAY KILL YOU』だ。

5周年イヤーのホールワンマン そして47都道府県ツアー

多様なテーマとシングル曲を網羅した収録曲、初めてチャレンジする曲調、挑戦的なタイトル……。BugLugは5周年イヤーに2ndアルバムとしてリリースしたこの作品を引っ提げて、ツアー『BugLug TOUR 2015「HAPPY BIRTHDAY KILL YOU~STRAWBERRY 5HOUT CAKE~」』で全国を回った。

そして、初めての東名阪ホールツアーで全席指定会場のワンマンライブを敢行し、ツアーファイナルでは渋谷公会堂ワンマンを行った。その2015年7月25日のツアーファイナルを収録したのがDVD『BugLug TOUR 2015「HAPPY BIRTHDAY KILL YOU~STRAWBERRY HALL CAKE~」』だ。

『BugLug TOUR 2015「HAPPY BIRTHDAY KILL YOU~STRAWBERRY HALL CAKE~」』

アルバムの1曲目「Cameraman」をスタートに「TIME MACHINE」で締めくくる、アルバムの世界観をしっかり踏襲したセットリスト。ライブ後半に向かうにつれて盛り上がる会場……そしてアンコールラストの「HICCHAKA×MECCHAKA」の多幸感たるや。会場にいる観客全員がタオルを振り回し、初めてのホールワンマンツアーの成功に対する喜びを共有していた。

そもそも『HAPPY BIRTHDAY KILL YOU』はコンセプチュアルなアルバムで、そのアルバムのテーマをホール会場の全てへ伝えきったBugLugは、前述のワンマン『寿限夢~音楽のすゝめ~』での雪辱を果たしてみせた。

さらにBugLugはそこから、イベントライブや対バン、大きなところではさいたまスーパーアリーナでのライブ出演なども経験しつつ、5周年イヤーを駆け抜けていく。

さらに、いくつものライブを重ねて成長してきたBugLugらしく、武者修行とばかりに47都道府県ツアーに挑戦。それが『47都道府県TOUR「GAMBLING JAPAN」ドキュメントムービー「MASTER OF JAPAN」』としてDVDも発売されているツアー『BugLug 5th Anniversary 47都道府県TOUR「GAMBLING JAPAN」』だ。

『47都道府県TOUR「GAMBLING JAPAN」ドキュメントムービー「MASTER OF JAPAN」』

個人的には、このドキュメントDVDはただのライブを収めた作品ではなく、BugLugのライブへの取り組みが見られる気がしてとても好きだ。47都道府県ツアーを通してBugLugメンバー恒例となった「ラジオ体操」の映像も入っているので、そちらも必見。