魔宮は世界の縮図?
地下は母が治める世界、地上は人間の王が治める世界、天上は太陽である息子が治める世界。
三つの世界をつなぐのが世界樹ヤシュチェ。
魔宮と呼ばれる神殿は、三つの世界を象徴して作られたと、推理できそうです。
王の永遠の暮らしを邪魔する観光客
マルバツ問題に、別の答えも見えてきました。
コアトリクエ母子が魔宮に祀られていると仮定しましょう。
マルは完璧な形である太陽・昼・天上界、すなわち息子ウィツロポチトリの象徴。
バツは、交差させた骨イコール死・夜・地下界すなわち母コアトリクエの象徴。
バツとマルの繰り返しが死と再生、すなわち永遠の象徴になりそうです。
私たち、お気楽観光客は、王の永遠の暮らしを邪魔する、侵入者なのです!
壁画は語る
青い壁画と赤い壁画
今度は、壁画に注目しましょう。
見回すと、上方に赤いバックグラウンドの壁画、下方に青いバックグラウンドの壁画が見えます。
マヤ・ブルーは堅牢さで有名ですが、色が鮮やかに残っていますね!
青の壁画
世界樹と若さの泉
コアトリクエ像に向かって左側を見ましょう。
水を噴出する十字形を挟んで、左に3人、右に2人の人間が描かれています。
マヤ文明では、十字形は世界樹の表現です。
両端の、ツボのようなものを持っている人は、供物を持っている従者でしょうか。
左から2番目の、蛇の杖を持っている人は、ウィツロポチトリ、またはウィツロポチトリの扮装をした神官、あるいは葬られた王かもしれません。
左から3番目、世界樹のすぐ左に立つ人は、壮年のような体格です。
そして、世界樹のすぐ右の人は、ほっそりとした若者に見えます。
世界樹がもたらす若さの泉で、王が若返る様子を、描いているのでしょうか。
世界樹の下には、ドクロが並んでいます。
永遠の命の代償が、生贄でしょうか。
クリスタルスカルの罠?
足場を歩いていくと、ドグロに火を吹かれた人々の図があります。
蛇に攻撃されている人々もいます。
さらに、ジャガーの中の顔、吹き矢が刺さって倒れている人々、ケツァールの羽根で飾り立てた、戦士らしき人間も描かれています。
どれも、探検ツアーで経験しますね。
一連の図は、行くなという警告でしょうか。
あるいは、試練を潜り抜けてこそ、若さの泉に導かれるということでしょうか。
夜の神と昼の神が運ぶツボ
進んでいくと、戦士を伴った、神官と王らしき人がツボを運び、カヌーの前に立っている図に遭遇します。
カヌーを運んでいるのは、夜の神と昼の神のようです。
右はジャガーの毛皮をまとっているので、夜の神、左はアカエイの鼻飾りをしているので、昼の神でしょう。
夜と昼の繰り返しは、死と再生の象徴ですね。
マヤ文明の図像に従えば、右の夜の神が船首側です。
ならば、王たちはツボを降ろしているのでしょうか。
壺の中には、若さの泉の水が、入っているのでしょうか?