1.『バンビ』
映画『バンビ』の舞台は、美しい森の中。
色とりどりながら、どこか抽象的な本作の背景は、四季折々の色彩や、目まぐるしく変化する気候の温度感まで伝わって来る美しさ!
『バンビ』背景の美しさには、ディズニーレジェンドも受賞したアニメーター、タイラス・ウォンの活躍が大きく関わっています。
他のアニメーターが、とにかく森のリアルさとディテールにこだわっていた時、中国の墨絵のようなタッチで、幻想的な世界を水彩で描いたタイラス・ウォン。
アートをウォルト・ディズニーに見せたところ、アイデアが採用され、リード・アニメーターに抜擢されたんだとか。
筆者も展示会で実物のアートを見たことがありますが、平面の絵ながら、森の湿った匂いや深い森の奥行きまで感じられ、素晴らしかったです。
鮮やかな色がついた、墨絵タッチの水彩画を、ぜひ隅々までじっくり見てみて下さい。
2.『眠れる森の美女』
個人的「背景が美しいディズニー映画」ダントツ1位の『眠れる森の美女』!
1度、6時間ほどかけて全てコマ送りで観たこともあります。本当に素晴らしいんですよ。
本作を語る上で外せないのが、アイヴァンド・アールという1人のアーティスト。
背景美術と色彩の全権を任され、ほとんどのシーンで背景を担当しています。
幻想的で静寂感に包まれた作風で、微妙な色合いの違いで細かに描かれた森林や、幻想的な色彩のコントラストが素晴らしいお城など、全シーンがため息の出るような美しさ。
書き込みの細かさも物凄くて、1枚の絵を1時間ぐらいは余裕で眺めていられます。
『アナと雪の女王2』に登場する、魔法の森の背景も、彼のアートをモチーフに制作されました。
独立後も、世界各地で個展を成功させたり、作品がメトロポリタン美術館に収蔵されるなど、社会的評価も高かった人物。
今は無き東京ディズニーランドの人気アトラクション「シンデレラ城ミステリーツアー」の、コンセプト・スケッチも担当していたんですよ。