この巨神兵を実写で動かすとどうなるか。それがついに実現しました。
東京都江東区にある東京都現代美術館で、
「館長 庵野秀明 特撮博物館-ミニチュアで見る昭和平成の技-」が開催中。そこで巨神兵をメインに据えたスピンオフ短編作品『巨神兵東京に現わる』が上映されています。
タイトル通りの内容で、突如東京に飛来した巨神兵が当たり前のように東京を焼き払っていく様子が、特撮で9分強の映像になっています。「特撮博物館」の展示に合わせて、登場する建物や人物や動物は全てミニチュアや写真の切り出し。唯一、人間を使っているのは林原めぐみのナレーションのみです。
漫画や劇場アニメでは、巨神兵は“火の七日間”と呼ばれる世界文明を滅ぼした現象を担っており、かつての文明が新たなる再生を目指して自ら作り上げた生命体です。「じゃあ、それがなぜ東京を?」と思うかもしれませんが、あくまでスピンオフ作品であり、その辺りは考える必要はないのでしょう。要は圧倒的な力の象徴である巨神兵が、理由など関係なく東京を破壊する様を特撮技術を駆使して作り上げてあります。
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公共事業の悪評の一つに“小さく生んで大きく育てる”との言葉があります。最初の事業計画では予算や工事規模もそれほどでもなかったものが、進行していくにつれて予算は膨らみ工事規模も拡大していく様子を揶揄したものです。それとは全くの別方向ではあるのですけれども、この作品も当初の予定を大きく超えたものになっています。
展示品には絵コンテや使用したミニチュアなどもあるのですが、パンフレットとあわせてみると、「ああ、こんな風に広がって行ったんだなぁ」と想像させるものがあります。企画や準備を含めた制作期間は約10ヶ月、撮影が1ヶ月弱だったそうですが、こうした制限が無ければ、当初予定の5分が、9分どころかもっともっと長い作品になったかもしれません。
9日の記者発表会で行われた会見では、今後の長編作についての質問が出たものの、鈴木敏夫氏(スタジオジブリ代表取締役プロデューサー)は「知ーらない」と笑顔を浮かべながらそっぽを向きながらも、「縁があれば」と。樋口真嗣氏(『巨神兵東京に現わる』監督、特撮博物館副館長)は「もちろん」と言いつつも「私一人での願いで実現できることではない」と現実を語った。両者に続いて、特撮博物館館長の庵野秀明氏は「機会がありましたら……」と、こちらも望みをつなぐ発言。それに先立ったオープニングセレモニーでも庵野氏は「数字(来場者数、売り上げなど)があがれば、今後に繋がる」と語っており、ここは特撮ファンの動員力に期待したいところです。
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「館長 庵野秀明 特撮博物館-ミニチュアで見る昭和平成の技-」の展示品には、ガメラ、ウルトラマンなどの歴代ヒーローの他、『日本沈没』『海底軍艦』などの中高年にとっては懐かしい作品、そして特撮技術のエッセンスが所狭しと並べられています。また『巨神兵東京に現わる』のメイキングをふんだんに楽しむことができるようになっているので、老若男女が楽しめるのではないかと思います。庵野氏の言葉ではありませんが、機会があればぜひ見に行って欲しいものです。
漫画の『風の谷のナウシカ』、劇場アニメの『風の谷のナウシカ』、そして今回の『巨神兵東京に現わる』。どれも異なった内容ではありますが、相互に作用しあって読者や視聴者を刺激するものになっているはずです。興味を持った方は、どれからでも構いません。ぜひご覧ください。
関連リンク
「館長 庵野秀明 特撮博物館-ミニチュアで見る昭和平成の技-」公式サイト [https://www.ntv.co.jp/tokusatsu/]
チケットぴあ 入場券購入ページ [https://ticket.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1216942&rlsCd=002]
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