「産後うつ」とは、赤ちゃんを産んでから数か月の間、急激なホルモンの変化から気分が不安定になり落ち込んだり、食欲不振や不眠など身体的症状が出ることを言います。
今や産後うつは10人に1人が経験すると言われ、重症化すると子どもを虐待したり、自殺をしたりということにつながる為、社会問題となっています。
これから子どもを作ることを考える女性や、プレママにとっては「私も出産をしたらなってしまうのかしら」「もしなってしまったら乗り切れるかしら」と不安になってしまいますよね。
もっと周りの人の理解があれば良いのでしょうが、残念ながら「産後うつ」は周りに理解されづらいのが現状です。
ではなぜ「産後うつ」は起きてしまうのでしょうか。
「産後うつ」は、ホルモンだけが影響しているのではなく、それ以外にも大きく関係しているのが「夫」であることが、このたび東京医科歯科大学の教授らがまとめた調査結果で分かりました。
今回は、軽度の産後うつから重度の産後うつを経験したママ達に、今思えば「産後うつ」の原因になったと思われる夫の言動と、産後うつから救われたと思う言葉について聞いてみました。
妊娠中に受ける心理的DVで「産後うつ」になる確率は5倍に!
妊娠中にパートナーから、言葉の暴力(心理的DV)を受けると、子どもが生まれた後「産後うつ」になる可能性が、心理的DVを受けていない人に比べ約5倍に高まることが、東京医科歯科大学の教授らがまとめた調査結果で明らかになりました。
暴力などの身体的DVに至っては、約7倍に高まることが分かり、妊娠中に夫から受ける心理的・精神的DVと産後うつは深く関係していることが分かりました。
心理的DVは、与えている夫側は無意識のうちに妻を否定する言葉を発している可能性が高いですが、産後うつの引きがねになる重要な要因であるため、妻の心に寄り添う努力が必要ですよね。
今思えば「産後うつ」の原因になったと思われる夫の言動とは
軽度から重度の産後うつまで、実際に発症したママ達に、今思えば産後うつの原因になったと思われる夫の言動について聞いてみました。
Aさん:私は妊娠を機に退職をしたのですが、妊娠6ヵ月の時から出産までの間に、夫によく言われ気分が落ち込んだ言葉があります。
- 「お前はこれから気楽でいいよな~」
- 「誰のおかげでメシが食えると思ってるんだ」
- 「家事しかすることないんだから、もっとうまいメシ作れよ~」
夫は全く家事や育児を甘く見ている発言を繰り返していて、誰のおかげでメシが食えると思っているんだ発言は、まさにモラハラですよね。
そんなことを言われるくらいなら、退職をせず会社に理解を求めて、産休育休で乗り切れば良かったと、後悔をしました。
Bさん:私は結婚と同時にそれまで勤めていた会社を退職し、近所のパートに切り替えたのですが、妊娠後期の頃の夫の態度が精神的に参りました。
- 立ち上がる時に「よいしょ」と言っただけで、デブ扱いをされた
- 突然不機嫌になり、舌打ちをしたり、ため息をついたりした
- 聞いてもらいたい話があって話しかけても無視された
- 家事に対して何かと文句を言われた
妊娠した私の姿や行動を見て嫌気がさしたような態度と、仕事で受けるストレスを私にぶつけるような態度が精神的に相当辛かったです。
不満を夫にぶつければ、大きな喧嘩になり、それが離婚へ発展するかもしれないことを考えたら、生まれてくる子どもがかわいそうだと、グッと我慢をした記憶があります。
このように、夫は無意識のうちに妻に心理的DVを与え、妻はひたすら我慢をする姿が浮き彫りになっています。
心理的DVは見えづらいため、なかなか表立って問題視されることはありませんが、夫から受けるDVが妻の産後うつの引きがねになっていると分かった以上、国や自治体も対策をして欲しいものです。