福岡堅樹(パナソニック ワイルドナイツ) 写真提供:パナソニック ワイルドナイツ

6月14日、『東京五輪』を目指していたパナソニック ワイルドナイツの福岡堅樹が7人制ラグビー男子日本代表からの引退を発表した。ウェブ会見で福岡は「自分の中で後悔しない人生を歩みたいと思ったから。『東京五輪』の延期が囁かれた時から進路について考えてきた。延期されると決まった時には辞退すると決めていた。一度決めた引退のタイミングなので、スムーズにセカンドキャリアへ移行したいと思った」と胸中を明かした。

今回の新型コロナウイルス流行の中、最前線で対応する医療従事者の姿も決断の後押しになった。
「親族に医療従事者がいて、こういう状況の中奮闘している姿を見て、“自分も役に立ちたい”と思うようになったのは確か」

今回はあくまでセブンズ日本代表からの撤退で、ラガーマンとしての引退ではないと本人は念押しした。
「今日がラグビー選手からの引退ではない。パナソニックの一員としてラグビー人生を全うしたい。(シーズンは不透明だが)もしかしたら3月が引退かもしれないし、4月もプレーしているかもしれない。引退はまた自分の口から言いたい。まだパナソニックの一員として優勝していないので、優勝したい。最後のシーズン、チームのみんなと笑ってシーズンを終えたい」

セブンズ日本代表へもエールを送った。
「『リオ五輪』で4位になった。7人制で今までで一番いい成績を収めたが、帰って来てからメダルを取るか取らないかが大きいと感じた。僕はいなくなるが、残ったメンバーが必ずメダルを取ってくれると信じている。主将の松井(千士・サントリーサンゴリアス)選手のトップスピードは僕より速い。パナソニックでチームメイトの藤田(慶和)選手は日本人離れをしたダイナミックなプレーをする」

目指す医療の分野は明確になっていないと言う福岡だが、理想とする医者像は見えつつある。
「分野はまだハッキリ言えない。研修医として回っていく中で変わることもある。ただアスリートとしてやってきたことを生かせる分野に行きたい。ケガを治すだけではなく、精神的にもフォローしていきたい」

また、ロビー・ディーンズ監督は次のようにコメントを寄せた。
「本日福岡選手は医学の道へ進む為に来年のオリンピックに挑戦しない意思を表明した。この決断がどれほど難しかったかは我々も理解しており、彼の意思を尊重したい。そして幸運なことに我々は来年のトップリーグの舞台でもう一度福岡選手のプレーを見ることができる。パナソニック ワイルドナイツと彼のサポーターは、福岡堅樹選手が来年のトップリーグに出場してくれることを非常に楽しみにしており、いい形で医学の道へ送り出してあげたいと思っている」