真意をはかりかねて、社長の顔を用心深くグラス越しにガンミします。
「お金にならない仕事しろ。
二年はじり貧かもしんないけど。
いいか、長く生きたけりゃ
目の前の金に動かされんなよ」
ロマンチストではない、儲け主義で来た男が言うことだからこそ、ストレートにぶっささりました。
何かを悟った人間の言葉です。
「二年後に、あいつは元社員なんですよって
自慢できるようになれよ。
で、奢れ。俺にいっぱい奢ってくれえ~い」
そういって吠えながら伝票を取りました。
おっさん、輝いて見えました。
人間関係もお金も仕事も、目先のことだけ見てたらすすめない。
勇気のいることですが、勇気のタネは日々誰かの言葉に宿っている。
二年というリミットを胸に計画をカレンダーに書き込みました。
■翌日、社長から届いたメールには…
さて。
翌日、ごちそうさまメールを出すと、おっさんから以下のメールが。
『さて、「お金にならない仕事をしろ」とは
アーチストに向けての言葉です。
僕はお金にならない仕事はしてはいけません。
なぜなら僕はビジネスマンだからです。
キミは誰にも頼まれていないのに、
小説を書いたり、ブログを書いたりするわけですか
ら、立場は僕らとまったく違います。
わかりますね?
キミの進んでいる道はよく言えば、アーチストで、
悪く言えば、プー太郎です。
昔、僕は言いました、キミに必要なのは旦那だと。
それはつまり、アーチスト、あるいはプー太郎を
目指すべきキミへのはなむけの言葉だったわけ
です。』
アーチストとプー太郎は紙一重。新たな苦悶が勃発しました…。
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