『吾輩は主婦である DVD-BOX 上巻』 TBS
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過去の有名作品のタイトルを引用したり、パロディにしたりするパターンも意外と多い。宮藤官九郎の『吾輩は主婦である』とか、『11人もいる!』などがそうだ。前者はもちろん夏目漱石の『吾輩は猫である』のパロディ。貧乏になってしまった専業主婦がお金のやりくりに頭を悩ませていると、お守りに持っていた旧千円札の夏目漱石が乗り移ってしまうという話で、最高に笑って泣ける昼ドラだった。後者は萩尾望都の『11人いる!』のパロディ。10人家族なのに、死んだはずの先妻が幽霊としていつも家族会議に参加するので、数えると11人もいることになってしまうからこういうタイトルになっている。

野島伸司が『人間失格』というタイトルをつけ、太宰治の遺族の要望で2話から『人間・失格~たとえばぼくが死んだら~』に変更されたこともあった。『たとえばぼくが死んだら』も森田童子の曲のタイトルだが、野島伸司は『聖者の行進』というディキシーランド・ジャズのスタンダードナンバーもドラマのタイトルにしている。

『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ DVD1』   TBS Amazon7net

個人的に野島伸司作品で印象に残っているタイトルといえば、やはり『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』だろうか。まだ18歳だった滝沢秀明と深田恭子が共演した作品で、当時の2人がすぐに連想されるくらい可愛らしいタイトルだった。片思いをテーマにした内容で、ショートケーキの上に乗ったイチゴを最初に食べてしまう人もいれば、あとに残しておく人もいるように、愛に対してもいろいろなアプローチがあるという意味がタイトルには込められている。そして、頭文字を取ると「S.O.S」になって、少年少女たちの助けを求める声にもなっている。主題歌にはABBAの曲が使われ、『S.O.S』も頻繁にかかっていた。最終回、真っ白な雪原に真っ赤なコートを来た深田恭子が横たわっているシーンは、タイトルを視覚化したもので、すごく印象的だったな。インパクトだけじゃなく、あとからジワジワくるタイトルも捨てがたいものがある。