「警察がバカだよね」とは思われないようにしています
──未解決事件は“警察が解決できなかった事件”でもあります。一歩間違えれば単に過去のミスをフォローするドラマに見えかねませんが、そうならない工夫もなさっているのではないでしょうか?
大事な部分ですね。「解決できなかった警察がバカだよね」とは思われないよう、何かしらの仕掛けを考えるようにしています。
「コールドケース」の場合、事件関係者による何年か越しの告白が軸になってくることが多いのですが、そうするには、すごく大事なことを当時は言えなかった理由が必要。
では、今になって言えるようになったのはなぜか。例えば、重病で余命わずかだったり、大人になったからこそ言えるようになったり。
シーズン3のキャッチコピーは「あなたは真実を話したがっている。」
実は、シーズン3のキャッチコピーは「あなたは真実を話したがっている。」なんです。
罪を犯した人、秘密を抱えている人が何かしらの理由で真実を話していないとして、けれども誰かに伝えたい瞬間は誰にでもあるはず。それも人間ドラマですよね。
刑事たちがどんなに探りたくても口を閉ざしていた。でも、今だからこそ言える。そんな人の性を大事にしています。
「コールドケース」って、「証拠が見つかった!」ですとか、指紋が云々みたいなことはあまりなくて。そうしてしまうと、単なる警察側のミスに見えてしまいますから。
──その一方、もちろん捜査する側の問題が語られることもあります。シーズン3の第8話は特に印象的でした。
あのエピソードでは、刑事自身が不妊治療でイライラしているとき、子供の死亡事件を扱うことになる。
そのせいで、冷静な判断ができなかったかもしれない担当刑事の苦悩が物語の軸になっています。刑事も人間ですから、そういうことってありますよね。
“話を聞く”が軸にある「コールドケース」ですが、その刑事は事件当時、ちゃんと話を聞くことをしなかった。刑事の人間らしさを描きたかった大事なエピソードです。
「なんでもっと話を聞いてあげなかったんだろう?」って、そういった後悔は人間誰しもあると思うので。
未解決になりやすい事件の特徴
──シーズン3まで30件近くの未解決事件を描いてきた中で、捜査される側、捜査する側の事情を含め、未解決になりやすい事件の特徴と言えるものは何か見出していますか?
事件が起きた当時、守るべきものがあったかどうか。
仕事のキャリア、家族、保身など、何かしらにすがっているから言えない。そんなケースが多い気がします。
「コールドケース」に関しては、ですけど。そこを刑事たちにガツッと突っ込まれ、綻びができていくということなんでしょうね。
──とは言え、そういった人たちを責めるのではなく、ある種の慈しみを向けているのが「コールドケース」だと思います。
先程、ワイドショーなどをご覧になっているとおっしゃっていましたが、慈愛の目線でご覧になっていることも?(笑)
ああ、そうかもしれません(笑)。先日、就職活動をしたくて自分の赤ちゃんを殺してしまった事件がありましたが、思っちゃいますよね。「なぜこんなことになってしまったんだろう」って。
事件の裏側にある理由をどうしても知りたくなってしまいます。
言われてみれば、「きっと、この人はこうだったんだよ」って、ワイドショーを見ながらよくぼやいているかも(笑)。
何かがきっかけとしてあったのは間違いないでしょうし。あの事件は、最近の中で最も気になったものでした。シーズン5くらいまで続けられたら、ぜひ取り上げてみたいです。