テレ朝系の金曜ナイトドラマ『ボーイズ・オン・ザ・ラン』が、9月7日に最終回を迎えた。今期はオリンピック放送の影響でどのドラマも視聴率が悪いが、この作品も平均視聴率5.86%(ビデオリサーチ社調べ・関東地区)と振るわなかった。まあ、もともとアクの強い原作だし、テレビ向きの内容でもないので、オリンピックの影響がなくてもそんなに高い数字は出なかったかもしれない。

ただ、最後まで見てみると、原作の細かいエピソードもきちんと拾って映像化していたし、原作が伝えたい部分はしっかり描いていたので、かなりの秀作だったと言っていいと思う。実際、Yahoo!テレビのみんなの感想でも★5が圧倒的に多く、オリコンの満足度ランキング(こちらはスタート直後に調査)でも48%の人が満足していた。好き嫌いは極端に分かれる内容だったとしても、作品の出来は悪くなかったのだ。

ということで、今回は原作や映画とも比較しつつ、ドラマ『ボーイズ・オン・ザ・ラン』がどう映像化されたのかを検証してみよう。

■原作は非モテ系男子のバイブル

原作は、花沢健吾によるコミックで、2005年から2008年まで「ビックコミックスピリッツ」で連載されていた。単行本は全10巻が出ている。物語の主人公は、田西敏行27歳。ガチャガチャ(カプセル入りの玩具)メーカーの営業で、彼女いない歴=年齢。いわゆる素人童貞。これまでまったく努力というものをせず、困難に対しては常に逃げまわって生きてきたダメ男だ。そんな田西が、職場の後輩で企画の仕事をしている植村ちはるに憧れ、やっと飲み会の席で話ができたというあたりから物語は始まる。


ただし、この植村ちはるは、原作のヒロインではない。明るく人懐っこい性格で、笑顔が可愛く、みんなに優しい女性。つまり、非モテ系男子が勘違いしてしまうアンチヒロインのような存在として描かれている。本当のヒロインは、大巌花というボクシングジムのトレーナーで、生活費はヌードモデルで稼いでいる中途失聴者の女性。全115話のうち、前半は1話、11話、12話、34話、35話、36話に少し出てくるだけで、本格的な登場は54話からになる。この構成もすごいのだが、要するに前半の植村ちはる編で、空回りしながら人を傷つけ、傷つけられた田西が、後半の大巌花編で、同じようなことを繰り返しながらも少しずつ前に進み、自分が何をすべきかを決断していくような流れになっている。

とにかく、主人公・田西のどうしようもなく不器用で無様な生き方や、それでも全力で走り続ける姿に男子は共感することが多く、この『ボーイズ・オン・ザ・ラン』は青春のバイブルとさえ言われている作品なのだ。