がんばろう日本!スーパーオーケストラのフィナーレで「ふるさと」を合唱する演奏者ら 東京都港区のサントリーホールで2019年3月1日、小川昌宏撮影

震災直後の2011年5月の開催から10年。ついに「がんばろう日本!スーパーオーケストラ」が最終回を迎える。
 東日本大震災で保護者を亡くした震災遺児の学業継続を支援する「毎日希望奨学金」のためのこのチャリティーコンサートは、全国の交響楽団などで活躍する演奏家たちが毎年一夜限りの「夢の楽団」を結成し、音楽を届けてきた。本公演は、新型コロナウイルスの影響で延期となって1年越しのコンサートでもあり、出演者たちの意気込みは例年以上だ。 ピアノの實川風さんは、この新型コロナ禍で「客席に生の音を届けることのできる喜びや大切さを、以前よりも強く感じます」と話す。だからこそ「震災から10年という中でのコロナ禍に、被災地のみなさんはさらに大変な日々を過ごされているのではないかと思います。少しでも日々のパワーにつながる演奏をお届けしたいと思います」と気持ちを新たに演奏に臨む。
 バイオリンの辻彩奈さんは、演奏曲であるブルッフのスコットランド幻想曲に触れながら、「特に光が差してくるような美しいメロディーの第3楽章が、新型コロナの感染拡大によって制限ある世の中で生きる私たちの心に寄り添ってくれると思います。聴いてくださる方の心に届くような演奏を目指したい」と話す。
 そして、指揮を執る山下一史さんは「音楽に癒やしがあるかどうかは今もわかりませんが、作曲家が曲に込めた思い、それを演奏する演奏家の思い、聴衆の思いがつながった絆が、音楽に力を宿らせることはできます。新型コロナの恐怖が収まらない中、会場に足を運んでくださいとはなかなか言えませんが、この渦中にある我々だからこそ、震災に思いをはせることには特別な意味があります」と力を込める。
 コンサートは、ライブ配信でも、アーカイブ配信でもお楽しみいただける。アーカイブ配信は3月9日23時59分まで。指揮、ソリスト、そしてスーパーオーケストラが一体となった演奏をぜひお楽しみに。