自動車・1000世帯あたり平均購入台数の推移
「クルマ離れ」は急速に進んでいる⇒20代の平均購入台数がもっとも多かった2000年に比べると、2010年はほぼ半減。全体平均台数と比較すると、「若者のクルマ離れ」が浮き彫りになる結果となった。
※総務省「家計調査年報」をもとにJMR生活総合研究所作成
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たとえば、現在40~50代世代の男性にとって、自動車は20代のころの憧れの商品だった。しかし、自動車購入台数の推移を見てみると、20~29歳の平均購入台数は、1000世帯あたり平均96台だった’80年から、’10年には56台へとほぼ半減している。これには経済不況の影響も考えられるが、全世代では’80年の同平均46台から、’10年の同平均54台へと8台の増加だった。ほかの世代に比べて、若者世代の自動車購入台数が著しく減少しているのがわかる。

この消費落ち込みの原因を、若者世代の収入減少にあるとの指摘もよく耳にする。しかし、松田さんはそうではないと指摘する。

「若者世代、特にプレッシャー世代の収入はほかの世代と比べて、極端に少ないということはありません。むしろ、氷河期世代と比べると正規雇用率は高く、安定した収入を得ることができています」

 

消費をするための収入はあるのに、なぜプレッシャー世代の消費意欲は低いのか。

「現在のところ、彼らの収入はそれほど悪くはありません。しかし、終身雇用と年功序列賃金体系が崩壊しつつあるために、今後も賃金が上昇し続けるとは考え難い状況です。当然、収入のピークは低く見積もらざるを得ず、親世代よりも生涯年収は低くなると予測されます。さらに、平均寿命は延び、医療費の個人負担などの上昇も考えられるため、生涯の支出は増加することになるでしょう」

加えて、バブル崩壊後の時代を生きてきたプレッシャー世代にとって、明日は「先が見えないもの」でもある。慎重に生きようとするマインドが強く、必然的に貯蓄志向は高まり、堅実な消費を考えるようになる。この結果、収入があっても過度な支出はしないという、新たな消費スタイルが生まれたのだ。

<年代別平均消費性向>
消費に慎重なプレッシャー世代⇒ 可処分所得のうち、消費にまわされる割合を平均消費性向と呼ぶ。平均消費性向が低いほど、収入があるのに支出をしないで、預貯金などにまわす傾向が顕著であることを示す。/総務省「家計調査年報」をもとにJMR生活総合研究所作成 ※2人以上世帯・勤労者世帯のデータを使用。