他国では小学生のときに学ぶようなビジネスの基本も、日本の学校ではまったく教えていない、と山田真哉さんは語る。だからこそ読みやすい本を最初に手にとることが大切なのだという。
『レモンをお金に変える法』
ルイズ・アームストロング(河出書房新社)
需要と供給、原料価格、市場、自己資本など、たった10分読めば、ビジネスの基本が理解できる絵本。
「本を選ぶときに大事なのは、背伸びをしないということ。いきなり難しい本を読んで、わかった気になるのがいちばんよくない。ページ数の目安で言えば、192ページ以内の本から手をつけるのが鉄則だと思います。上下巻あるような本をいきなり買っても、読み切れないことが多い。童話やコミック形式になっているビジネス本を選んでもいいと思います。中でもおすすめなのは、名著と言われているルイズ・アームストロングの『レモンをお金に変える法』。女の子が冷蔵庫のレモンからレモネードを作って売るというストーリーの絵本です。10分で読めるくらいの短い話を通して、需要と供給、原料、価格、市場、自己資本など、ビジネスの分野で使われる基本的な考え方を理解できる。ビジネスというのは、結局は売買なんです。モノやサービスをいかに売るか。そのことを簡単に理解できるのがこの本ですね」
本を読んで「現場力」を身につける!
『利益は「率」より「額」をとれ!』
坂口孝則(ダイヤモンド社)
ビジネスの最前線で活躍する現役バイヤーが、現場でのエピソードとともに語る、利益を最大化する方法。
「そして、ビジネスの現場でのよりリアルなエピソードを学ぶことができるのが、坂口孝則さんの『利益は「率」より「額」をとれ!』。この本には、タイトル通り、利益を出すにはどうしたらいいのかが具体的に書かれています。会計の基本的な理念は、いかに利益を出すかということ。そのためには物事を1円単位で考えなきゃいけない。たとえば過剰生産のようなことも、利益を出すためには必要になる。そういう現実的な考え方を理解させてくれる本ですね」
一方、ビジネスの現場では、さまざまな数字がつきもの。「数字に強い」人間になるためにはどんな本を読むべきなのだろうか。
『「計算力」を鍛える』
斎藤広達(PHP研究所)
デキるビジネスパーソンの必須スキル「計算力」。経営コンサルタントが「数字を自在に操る方法」を伝授する。
「商品を製造するひとつあたりのコストや、事業の成長率など、ビジネスには数字が不可欠。どんな分野の仕事においても、数字を扱うスキルは必要になります。計算自体はコンピューターがやってくれますが、数字から物事をイメージするためには、どうしても頭で考える必要がある。日常で接する数字に対して、常にその裏側を読み解く意識を持つことが重要です。そこでおすすめなのが、『「計算力」を鍛える』という本。大きな金額の数字を把握しやすい単位に変換する能力など、コンサルタントならではの視点で“計算力”について書かれた本です。学校で習ってきた算数や数学をビジネスにどう役立てることができるかということについても、書かれています」
そして、上司・先輩世代のビジネスパーソンがどんな意識を持って仕事をし、人生を歩んできたかを記した本からも、学ぶことはとても多いと山田さんは言う。