
5年半にわたり上演されてきたハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」シリーズの最終章となる〝頂の景色・2〞が3月20日に開幕。3月21日までの東京公演を皮切りに、宮城、大阪、兵庫、福岡、東京凱旋と上演される。開幕に先がけ公開ゲネプロが行われた。
原作は「週刊少年ジャンプ」で連載された古舘春一による同名バレーボール漫画。舞台シリーズは’15年に初演され、これが11作目となる。今回は、春高“魔の3日目”の準々決勝となる主役校・烏野高校VS鴎台高校の試合が舞台。幼い頃にテレビで見た「小さな巨人」に憧れてバレーボール(配球)を始めた162.8㎝の主人公・日向翔陽(醍醐虎汰朗)と、同じく小柄で「小さな巨人」と呼ばれる鴎台の星海(輝山立)の“小さな巨人対決”を中心に、日向の“変人コンビ”の影山(赤名竜之輔)をはじめとする選手たちの物語や、梟谷学園高校VS狢坂高校の試合も描かれる。
春高バレー準々決勝という熱戦を描きながら、各校のメンバーそれぞれがこの試合に立つまでに辿ってきた道も丁寧に描かれていた今作。特に日向や影山は、バレーを始めたその日から今日までの出来事を、舞台シリーズの映像も交え振り返る。出会い、時間を重ね、心を通わせ、成長し、今ここに立つ登場人物たち。その一人ひとりが繋がることで何倍にもなる強さ――。以前の作品で登場人物が「たかが部活」と言った時間の答えが、目の前に力強く広がっていく。舞台上では、プロジェクションマッピングやライブカメラなどの先端技術と超アナログな表現の掛け算、八百屋舞台、回転する盆、照明、音楽、音、振付、アクロバット、役者たちの芝居……この舞台シリーズではお馴染みとなったたくさんの要素が繋がって眩しい景色をつくりあげる。その様が、この作品が描くものそのもののようにも感じられる。演出・脚本のウォーリー木下が「今回の作品は、5年半かけてつくった演劇です。本当にたくさんの筋肉をつけました。僕もキャストもスタッフも。ぜひ劇場でお確かめください」とコメントを寄せたように、今作は特に、演劇、そしてこの演劇「ハイキュー!!」でしか成しえないカタチでこの物語が表現されていることを強く感じる仕上がりだった。
シリーズ1作目の再演のサブタイトル〝頂の景色〞がふたたびつけられた本作で、“独りでは見ることのできない頂の景色”を確かめてほしい。公演は、宮城、大阪、兵庫、福岡、東京凱旋と5月9日(日)まで上演中。
文:中川實穂