<フルマラソン完走者の多い国>
世界中で行われるマラソン大会のうち、完走者数が多い大会をTOP15で発表。

TOPは米国『ニューヨークシティ マラソン』の5,0266人となり、日本で最も多い大会は『東京マラソン』の34,832人(5位)でした。

  

もちろん大会規模や参加者数による部分も大きいものの、注目すべきはTOP15に入っている各国の大会数です。

米国は7大会、日本は4大会となっており、複数大会がランクインしているのはこの2カ国だけでした。両国においてマラソンが大きな市場となっており、大規模な大会の増加やランナー人口の増加、またランナーのレベルアップなどが伺えます。高瀬氏もこのデータについて、「米国と日本とのマラソン熱が高いことが分かる」と話しています。

 

<米国と日本との違い>
米国と日本とのマラソン事情については、様々な観点から細かなデータが出されました。特に面白いデータとしては、次のようなものが挙げられます。

 

  

・米国は女性のランナー率が高い

・フルマラソン完走者のうち、米国は女性比率が高い(日本21%/米国43%)

・ランニングを続ける理由が異なる
 日本「1位:健康」「2位:楽しい」「3位:レース出場」「4位:体型維持」

 

  

 米国「1位:体型維持」「2位:健康」「3位:ストレス解消」「4位:楽しい」

 

  

<その他>
その他、ランナーにとって身近な情報として、次のようなデータも挙げられました。

・フルマラソン大会数:2004年49大会→2014年72大会(23大会増)

 

  

・フルマラソン完走者の人口比率が高い都道府県:TOP沖縄県(1.26%)

 

  

・過去1年間でランニング大会のエントリーにかけた費用:2013年平均33,124円→2014年平均34,414円

 

  

・ランナーのスマートフォン保持率:2013年56%→2014年69%

フルマラソン完走者の人口比率は次いで徳島県(1.00%)、鹿児島県(0.73%)と、暖かい地域が上位を占めました。しかしこの背景には人口数などもあるため、あくまで参考値といえるでしょう。中でもスマートフォンの保持率について、高瀬氏は次のように注目していました。

 

  

「スマートフォンの保持率は、一般に比べても高い数値といえるでしょう。このことからは、GPSやアプリなどをはじめとしたスマートフォンの機能と、ランナーのニーズとの相性が良いことが分かります。」

同社でもスマートフォンアプリ『どれ走る?』を提供していますが、確かにマラソン大会でも、スマートフォンを持って走っているランナーは多く見かけるのではないでしょうか。

 

海外から見たマラソン市場


カパルボ氏からは、グローバルな視点からマラソン市場に関する見解が語られました。市場の変化と共に、自身の仕事もまた複雑化しているというカパルボ氏。

2ケタ成長を続けるマーケットについて「他にはない成長性だ」とし、カラーランやエレクトリカルランなど、これまでとは異なる新しいランニングイベントが盛り上がりを見せている点にも注目していました。

しかし成長や人気には、どうしてもサイクルがあるものです。ランニングもどこかで行き詰まりが出てしまうのではないかという懸念について、カパルボ氏は次のように話しています。

 

  

「ランニングは、そうした他のマーケットとは異なります。ランニングは余暇の過ごし方として最も人気であり、人々は自由に使える時間が増えています。つまり時間の使い方として、もっと走れるようになるわけです。いずれは、医師からの勧めでランニングを始めるケースも増えてくるでしょう。また、女性ランナーの増加も顕著であり、環境の変化とともに、女性がもっと走れるようになっていくと考えています。」

こうした上で、カパルボ氏は最後に1つ、マラソンを脅かすかもしれない要素についても触れていました。

「マラソンに『あの選手のようになりたい』というヒーロー願望を満たしてくれる存在がいないこと。ランナー人口の増加に対して、これは大きなギャップです。そのため、今後『チャンピオンが有名になれるかどうか』は重要なポイントになるでしょう。」

今後、どのような変化や成長が見られるのか。マラソントレンドは、これからも注目すべき内容といえそうです。

“走る”フリーライター。スポーツを中心に、IT・WEBやビジネス関連などで執筆。「人生をアホほど楽しむ」がモットーのノマドワーカー。マラソンやトアイアスロンが趣味で、100km超のウルトラマラソンにも頻繁に出走。ときどき仮装ランナー。2児の子を持つイクメンとしても奮闘中。ナレッジ・リンクス(株)代表取締役。葛飾区堀切中学校・陸上部コーチ。1983年生。