人気漫画の主人公ともなれば、必ず1つや2つは持っている“印象的なセリフ”。それは格好良い決めゼリフだったり、時には迷ゼリフだったりもするが、ファンの心に深く刻み込まれるものだ。キャラクターの名言を集めたサイトや掲示板はネット上に多数存在する。

しかし画像合成(コラージュ)技術とインターネットが普及した現在、セリフを改変したコラ画像がアップされ、それを見た人が本物と誤って信じてしまう可能性が出てきた。そこで今回は人気作品で主人公が言ったとされる“あのセリフ”が本当かどうか、原作コミックス準拠でじっくり検証してみた。

「だいじょうぶだ ドラゴンボールで生きかえれる」
発言者:孫悟空/『ドラゴンボール』

魔人ブウ編で敵の策略により、多くの人々が命の危険にさらされたシーン。街に残してきた家族を心配するブルマに対し、悟空がこのセリフをさらりと言った。これは本物である。

ただし直後のコマに「鬼!外道!悪魔!」「なんだおめぇ ブウに殺される前にオラに殺されてぇのか?」と続いている場合、その部分はコラ画像だ。

この「ドラゴンボールで生き返るから殺されても大丈夫」という考え方は、仮にも主人公が一般市民の生命をそんな軽く扱っていいのかという点で、しばしばネットユーザーから非難を受けている。

だが『ドラゴンボール』はご存知の通り、連載長期化に伴って強さのインフレが進み、ボスキャラともなれば簡単に地球を破壊できるようになった。どうあがいても人類滅亡という状況なら、悟空のように“最悪の中で最善を追い求める”姿勢を一概には否定できないのかもしれない。

なお、悟空のセリフばかり有名になっているが、ストーリー中盤以降になると「死んだ観客も全員生きかえるさ」(ヤムチャの発言)、「トランクスならドラゴンボールで生きかえったんだ」(クリリンの発言)など、多くのキャラがドラゴンボールによる蘇生ありきの考えになっていた。バトル漫画のパワーインフレが引き起こした弊害(?)として、いろいろ考えさせられる話である。