『JINGO JUNGLE』(『幼女戦記』)

人気作曲家のTom-H@ck氏による音楽プロジェクト「MYTH & ROID」の『JINGO JUNGLE』は、アニメ『幼女戦記』のオープニング主題歌に起用された一曲。この曲は、「インダストリアルロック」からの影響を強く感じさせるナンバーです。

ヴォーカルを務めるMayuさんのハードな歌声と、ヘヴィなサウンドの融合によって生み出されるエモーションは、例えば、ドイツのインダストリアル・メタルバンド「RAMMSTEIN」の諸作品を思わせるダークな重苦しさに溢れています。

一方で、リズミカルで、どこかダンサンブルな要素を感じさせるポイントもあり、この辺りは、Tom-H@ckさんの作曲におけるバランス感覚の上手さに注目をしたいところです。

個人的には、2000年代の中期から後半に掛けて、アニメ作品の主題歌にも度々、起用されていた「I've」関連のインダストリアルなナンバーを思い起こさせる楽曲でもあるなと思います。

MELLさんの『Red fraction』(『BLACK LAGOON』OP主題歌)や『RIDEBACK』(『RIDEBACK』OP主題歌)、島みやえい子さんの『ひぐらしのなく頃に』(『ひぐらしのなく頃に』OP主題歌)といった、「インダストリアル」からストレートに影響を受けた退廃的かつ工業的な電子音による新しいタイプのアニソンが次々に生み出され、アニメファンに新鮮な驚きを与え続けていた"あの頃"。

この曲の背景にあるのは、I'veによって「インダストリアル・アニソン」とでも呼ぶべき楽曲が、次々に生み出されていた当時の空気感への憧憬であり、回帰意識でもあるように思います。

Tom-H@ckさんが、近年のスタンダードとは異なるアニソンを作るというコンセプトを体現する為に結成したMYTH & ROIDのサウンドに、ゼロ年代に電子音を起点として斬新なアニソンを世に送り出したI'veの方向性を重ね合わせて聴いてみるのも、また一興。非常に聴き応えがある、そして、深みを持つ曲です。

『SHINE!! キラキラ☆プリキュアアラモード』(『キラキラ☆プリキュアアラモード』)

現在好評放送中の『プリキュア』シリーズ第14作目となる新作、『キラキラ☆プリキュアアラモード』のオープニングを飾るのが、『SHINE!! キラキラ☆プリキュアアラモード』です。

『プリキュア』シリーズでは、様々な主題歌が起用されてきましたが、どの曲も根底に流れているのは、ポップで明るい曲調です。何れの楽曲も『プリキュア』の作品性やキャラクターと同様に、胸が踊るようなメロディを用いた夢一杯の楽曲がシリーズを彩ってきました。

最新主題歌である『SHINE!! キラキラ☆プリキュアアラモード』でも、番組のメイン視聴者である女の子たちのハートを撃ち抜くようなキュートで、そして、パワフルなメロディが使われています。

リズム感のある歌詞と合わせて、一度聴いただけで耳から離れなくなるような、とても楽しい楽曲です。また、英語と日本語、そしてフランス語がミックスされたリリックもチャームポイントの一つで、この曲を更に可愛らしくデコレーションしています。

本曲で、歌唱を担当しているのは、声優の駒形友梨さん。かなりキーが高めなサビの後半パートも見事に歌い切る、伸びやかな歌声に、早くもリスナーを惹き付ける歌い手としての大きな可能性と魅力が感じられます。

かつて『ドキドキ! プリキュア』の主題歌を担当した黒沢ともよさんのように、駒形さんには、今後も「プリキュア歌手」として、そして、声優としても大いに活躍をして欲しいですよね。

完成度の高いポップな楽曲に、今後のスター性を感じさせる歌手の人選。長年続く人気シリーズの矜持を感じるような一曲です。

都内在住の極々平凡なサラリーマン兼、アニメ、音楽、プロレス、映画…と好きなものをフリーダムに、かつ必要以上に熱っぽく語るBLOG「さよならストレンジャー・ザン・パラダイス」管理人。永遠の"俺の嫁"である「にゃんこい!」の住吉加奈子さんと共に、今日も楽しいこと、熱くなれることを求めて西へ東へ。