©空知英秋/集英社 ©2017 映画「銀魂」製作委員会

ギャグシーンが無くてすねていた岡田似蔵役の新井浩文

福田:後は、二朗さんと菜々緒ちゃんとのシーンで、菜々緒ちゃんが笑ってしまって。ああ、どうしよう撮り直そうかなとも思ったんですけど、二朗さんがね、同じ事が二度出来ない。

だからせっかく最初に面白かった方を、菜々緒ちゃんには悪いけど使わせてもらいました。

佐藤:同じ事が二度と出来ない、正しいです。ただ、それは福田組に限り。他の現場ではちゃんとやっています。どうしても福田組というと、遊びに行っているというか、ボールの行方はボールに聞いてくれ、という感じになってしまって。

福田:だから俺が二朗さんが最初にしていた演技を真似して教えるんですよ。「二朗さんこうやってましたよ」って。そうすると最初から5割減くらいのつまんないのが出てくるという(笑)。

だから菜々緒ちゃんは「笑ってしまったんですけど大丈夫ですか?」と心配していて、「大丈夫、大丈夫。カットするから!」と言っておいたんですけど、ごめんなさい全部使ってますと。完成した映画を観た菜々緒ちゃんは「全部使ってるやんけ!」と驚いてました。

佐藤:それは演出では無くて、嘘です(笑)。

――一方、新井浩文さんだけは岡田似蔵役という事もあって一切笑い無しのシリアスなシーンばかりでした。

福田:本当に新井君はね、ギャグシーンをやりたくてやりたくて仕方なかったらしいんですけど、全く無くて。「岡田似蔵役でもちょっとはあるだろ」とは思っていたと思うんですけどゼロで。いじけていたみたいですけど、とにかく「新井君は次『斉木楠雄』があるから、そこで思い切り出来るから!」ってなだめてました(笑)。

――先ほど福田監督が「二朗さんとムロさんは精神安定剤」とおっしゃっていましたが、二朗さんにとっての福田組の魅力とは何ですか?

佐藤:そうですね、色々な作品に出させてもらっていますが、福田組だけしかやらない事が「素で笑う」。俳優というのは素で笑うというのは絶対やっちゃいけないと思うんですよ。

でも『33分探偵』(福田監督作品)というドラマの時に僕が素で笑ってしまって。人間何が一番面白いって「笑いをこらえている人」なんですよ。だから福田の現場に限り、福田作品に限り、禁を解いてます(笑)。

福田:そしてそれを使う人もなかなかいないしね(笑)。NGだから。

「死ぬほど笑った」って鑑賞後、初めてメールしました

――佐藤さんが完成した作品を観て、率直な感想はいかがですか?

佐藤:いや本当にね、「腰を抜かすほど面白かった」って初めて福田にメールしちゃいましたね。笑って泣いて熱くなる、って本当にその通り。普段、僕、映画を観て、声を出して笑うってあまりないんですけど、銀魂に関しては、ずっと声出して笑ってました。

福田は役者の魅力を引き出すのが上手いんですけど、福田組初参加の人たちが思いきり振り切って演じていて。昔から福田組に参加する役者としては感慨深い作品になりました。

――佐藤さんは原作をご存知無いということですが……

佐藤:あら、またそれ言いますか?

2人が惹かれた映画『銀魂』のキャラクターは?

――すみません(笑)。惹かれたキャラクターって誰でしょうか?

佐藤:どのキャラクターも素晴らしいんですけど、柳楽の役格好良かったね。「死ぬなよ、まんじや」ってね。

福田:ほら出ました「まんじや」じゃないですよ「よろづや」ですよ!

佐藤:やべ!マジ間違い!

福田:本当にね『ミツバ篇』でのオープニング映像撮った時も「時は未来」ってキメキメで言ってて。最初から間違ってんじゃねーか! って。江戸時代だって言ってるでしょって。

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――原作ファンの福田監督はどのキャラクターがお好きですか?

福田:僕はやっぱり高杉に惹かれるんですよね。その役は絶対剛君にお願いしたかったので、撮れて本当に幸せでした。子供の頃から悪役が大好きで。

デスラー総統、シャア、力石徹……とにかく主人公に相対する、しかもナイーヴで一筋縄でいかない悪役が大好きで。『銀魂』も、もちろん銀ちゃんも好きなんですけどね。

佐藤:本当に剛や(中村)勘九郎君が出演する事で、作品全体に色気が加わっていて、良いんだよねえ。

福田:本当にそう。嬉しくてしょうがなかった。

――今日は楽しいお話を本当にありがとうございました!