『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンを主演に迎え、ついに実写化される『101匹わんちゃん』のヴィラン『クルエラ』。
デザイナー志望の少女エステラが、いかにして悪名高きクルエラへと変貌したのか、彼女のルーツが明らかになります。
綿密にキャラクターが深堀りされ、人間味や憎めない部分が発見できるところも、実写化の良いところ。
これまでに実写化されたヴィランたちとともに、掘り下げられたさらなる魅力を、ウレぴあ総研 ディズニー特集独自にご紹介します。
これまでに実写化されたヴィランズ
『シンデレラ』トレメイン婦人
アニメでは老婆のような風貌で、使用人を雇うお金をケチり安上がりにシンデレラをこき使って、元の豪勢な暮らしを維持したいだけの、業突張りな女性という印象でした。
実写版では美しきケイト・ブランシェットが演じており、彼女の心の奥底にある感情が、丁寧に描かれています。
シンデレラの継母になったトレメイン婦人は、純真無垢で美しく、若くて魅力的なシンデレラに対し、激しい嫉妬心を持つように。
冷酷で卑劣な行動でいじめ抜き、救いようもなく嫌われる存在に思えますが、そこには彼女なりの理由がありました。
前夫を亡くし、苦労して2人の娘を育てた過去があり、再婚し新たな一歩を踏み出そうとしたところで、何不自由なく父から大きな愛を注がれるシンデレラの姿が。
苦労した分、今度こそ愛され幸せになりたいという想いと裏腹に、再婚した目の前の夫は、娘のシンデレラ以上に自分に愛情を注いでくれる事はないだろうと、勝手に思い込んでしまったのかもしれません。
卑劣な行動の裏には、実は彼女の心の脆さや悲しみ、嫉妬心など、人間なら誰しもが持つ感情が隠れていたことが、実写版で明らかになっています。
『美女と野獣』ガストン
聡明で心優しく、美しい村娘ベルとの結婚を望む、ガストン。
ハンサムなルックスと誰にも劣らない力の強さから、村のプレイボーイと持ち上げられ、うぬぼれな性格を助長させて行きます。
短気で知性もなく、力を誇示するしか能がないガストンを、ベルはまるで相手にしません。
そしてガストンは、ベルが野獣に惹かれていると気づくや否や、村人を焚き付け、野獣を倒すため城に向かいます。
野獣がいなくなりさえすれば、ベルが自分のものになると思い込む短絡的な性格。
さらに実写版では、ベルの父モーリスを暴行し殺そうとするなど、横暴な部分も踏み入って描かれています。
激しい戦争を生き延びたという過去や、ベルを孤立させ村人を味方につける手段のうまさなど、アニメ版より狡猾で卑劣な印象でした。
欲望に駆られるまま突き進むガストンは、魔女や悪魔でこそないものの、人間の最も醜い部分が現れたディズニーヴィランかもしれません。
『アラジン』ジャファー
アグラバー王国の国務大臣である、ジャファー。
手下のオウム・イアーゴを従え、魔法のランプで王国の乗っ取りを企みます。
正直アニメ版のサルタン王は、娘に甘いだけのポンコツ(※個人的な見解です)なので、有能であるジャファーが王座の転覆をもくろむのも、わからんでもないなぁ…と思っていました。
ですが実写版のサルタン王は、王政に関わりたいジャスミンをバシッと跳ね除け、威厳も風格もある立派な王に見えました。
だからこそ、有能な王を見ながらそれをひっくり返そうとするジャファーの、本気度と言うか欲深さが、より浮き彫りになった印象です。
加えてアニメ版より年齢設定が若く、あの若さで国の2番目に君臨しているなんて、どれだけ手段を問わずに汚い手を使って上り詰めて来たんだ…という、アニメとはまた違った怖さがありました。
投獄された過去も明らかになっており、そこからあの若さで上手く周囲を出し抜きながら上り詰めて来るなんて、しかもサルタン王の信頼まで得ているなんて、本当に狡猾な蛇みたい!
王国を乗っ取るという欲望に駆られ、人々を危険に晒す行動は到底褒められたものではありませんが、実写化された事によって見えたジャファーのカリスマ性は、さらなる魅力の深堀りと言う点では、大満足でした。