ディズニーは時代の変化に合わせて、様々な映画を世に送り出しています。
おとぎ話の原作は知らなくても、ディズニーのアニメは見たことがある!という方も、多いかもしれません。
さて、最近制作された映画には、ディズニー・プリンセスを実写化したものが多いとは思いませんか。
どうしてディズニーは、プリンセスの実写化にこだわっているのでしょうか。
今回はこれまで公開されたアニメーションと実写版を比べながら、その理由を考えてみましょう。
おとぎ話の実写化がブーム?
ここ数年、アメリカのハリウッドでは、童話や児童文学の作品を実写化する流れが大きくなっています。
ディズニー以外にも、おとぎ話を実写化した作品がたくさん制作され、ヒットを記録。
これは、まったく新しいストーリーよりも、多くの人に親しまれている原作をもとにしたほうが、よりヒットが望めるからでしょう。
おとぎ話の実写化ブームは、ディズニーが制作したテレビドラマ「ワンス・アポン・ア・タイム」シリーズがきっかけになった、とされています。
「ストーリーブルック」という街を舞台に、呪いで記憶を失ったおとぎ話の主人公たちが登場するこのドラマは、放送初回から高視聴率を獲得。
最終的にはシーズン7、全156話まで制作され、実写化ブームの流れを生み出しました。
「シンデレラ」(2015年)
さて、ここからはディズニーが制作した、プリンセスの実写版について見ていきましょう。
シンデレラのアニメーションが公開されたのは、1950年、第二次世界大戦の終結から5年後のことでした。
それから65年がたった2015年に、リリー・ジェームズ主演で実写化されています。
アニメ版と実写版の大きな違いは、以下の3つです。
- シンデレラと王子の出会い
- 受け身ではない、能動的なヒロイン
- 王子を支える護衛隊長
シンデレラと王子の出会い
アニメ版では、シンデレラと王子(プリンス・チャーミング)は、舞踏会で初めて出会っています。
しかし、実写版では、シンデレラが継母たちの仕打ちに耐えかね、逃げ出した森の中で出会う流れに。
しかも、シンデレラは馬に乗ったまま、王子の正体も知らない状態で、「鹿を殺さないで」と正々堂々と意見します。
男性に対して従順ではなく、しっかりと自分の意見をもつ女性として、描かれているのです。
受け身ではない、能動的なヒロイン
「信じていれば夢はかなう」と歌っていたアニメ版と比べて、実写版のシンデレラは、母の教えから「勇気と優しさを持つこと」を信条に生きています。
戦後直後の混乱した時代であれば、ステキな王子様(男性)から求愛を受ければ、幸せになれるというヒロイン像は正しかったかもしれません。
しかし、現代は必ずしも「結婚=幸せ」とは限らなくなっています。
実写版では、フランス語も話せる聡明な女性として描かれ、キット王子とも互いに愛し合う関係が強調されています。
実写版のシンデレラは、受け身ではなく、能動的に行動するヒロインなのです。
王子を支える護衛隊長
シンデレラとキット王子の再会を手助けする存在として、王子の護衛隊長(大尉)が登場します。
これはアニメ版にはいなかった、実写版オリジナルのキャラクターです。
演じたのは、ナイジェリア系イングランド人のノンソー・アノジー。
黒人俳優として、アメリカの映画やテレビドラマに出演しています。
実写版の時代設定は、作中では明示されていませんが、おそらく19世紀のイギリスと思われます。
当時の黒人たちは「奴隷」として虐げられており、王子直属の部下として仕えるのは考えられないことでした。
それでもあえて、物語のカギを握る重要な人物に、黒人俳優を起用したのは、ディズニーの配慮だったと思われます。
多種多様な人種が共存する社会として、実写版を描きたかったのでしょう。