粘るよりも、流れをよくする
この本では、話を噛み合わせる秘策として、相手の話の要点を繰り返す「バックトラッキング」という会話技法を推奨しています。
とても効果的な方法ですが、ただ、バックトラッキングには「会話の流れが悪くなる」という隠れた弱点もあります。
話の途中で「これって大事そうだな」と思ったセリフを繰り返しても、早とちりであることもあります。また、男と女では価値観が大きく異なりますから、「ここを強調したいのかな?」と感じて拾い上げたキーフレーズがズレていることも、よくあるのです。
どうでもいい部分で引っかかっているうちに話が進まなくなって、「なんでそこに反応するんだよ」と、相手をイラつかせる場合も出てくるでしょう。
それに対して、ある程度のスピード感をもって話し、なるべくバックトラッキングせずに結論までたどりついてしまうのが、「噛み合わせない技術」です。
要点を繰り返す暇を作らず、相手にも繰り返させずに、会話を前に進めることを重視。
分かり合えるまで粘るより、会話の流れがスムーズになるので、ストレスをためずにすみそうです。
分からなくても、信じられればいい
適当に聞き流してしまった方がいいことと言えば、男性のうんちく語りです。
自分の趣味や凝っていることを語り出すと止まらなくなる男性は多いですが、聞く方にしてみれば、マニアックな話はあくびが出るほど退屈。
この手のことは、「それってどういう意味なの?」と聞き返しすぎると、話が進まなくなります。理解しようとする努力が、会話を停滞させてしまうのです。
それより、「言っていることは分からないけれど、あなたのことは信じている」というスタンスで接するのが、あえて噛み合わせない会話のありかたです。
「半分も理解できないけど、あなたが言っているくらいだからすごいんだろうね」という姿勢を貫く。
中途半端に分かったふりをして聞くより、ずっと正直でいられます。
雑談の秘訣は「噛み合わせないこと」
さすがに、仕事で重要なことを話している時に噛み合わないのは困りますが、日常的な会話なら分かり合おうとして無理しすぎないほうが、人間関係はうまく回っていきます。
雑談を楽しむ秘訣は、合わないことで生じるズレやボケを楽しむことにあると言ってもいいようなもの。“噛み合わせ”に敏感になりすぎないで。
一つの参考になれば幸いです。