初期に手がけた中で1番大きい企画はやはり、Mr.Childrenの『Mr.Children / Split The Difference』ですね。この作品は2週間限定公開だったのですが、とても反響が大きくて。Mr.Childrenはほぼ毎年全国ツアーをやっていたんですが、この年はたまたまツアーがなくて。その中で「ミスチルを観に行きたい」という欲求が高まったのではないでしょうか。そこで、演奏してるところを観れる、しかもドーム級のライブ会場ではなくスタジオでのライブを収録した映像を映画館の音響でというのはものすごくレアだったのではないしょうか。リピーターの方もたくさんいらっしゃいました。
―― 「ドキュメンタリー映画」は、ライブとも違いますし、雑誌のインタビューともテレビの音楽番組とも違う。そういう部分で希少価値を見出していたのでしょうか。
古澤:Mr.Childrenの場合は、フルコーラスで楽曲を見せるシーンが結構あるんですよね。その合間インタビュー的な部分があって。普段どういったふうにメンバー同士でディスカッションしてるかとかが見て取れる。大音響で楽曲をまるまる楽しみながら、メンバーの音楽制作の日常を知れる作品になっています。
一方で、AKB48の映画は、彼女たちの活動の裏側や本音の部分をドラマチックに切り取り、ファンでなくても引き込まれる作品に仕上げています。 2PM&2AMは普段見ることのできないパーソナルな表情を追いかけ、日本での活動に密着したコアなファンの方に満足してもらえるものを目指して 作っています。アーティストによってそれぞれが全く違う作品作りになっています。
――AKB48のドキュメンタリー映画の2作目『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on少女たちは傷つきながら、夢を見る』はファン以外の方にもすごく反響があったように思えます。
古澤:1作目は製作総指揮に岩井俊二さんに入って頂いたんですが、「女の子をとにかく綺麗に撮る」というテーマがあって。インタビューを中心に「彼女たちが将来に向けてどのような夢を持って活動をしているか」を見せる作品になっていたと思います。2作目は、初期のPVからAKB48を撮り続けている高橋栄樹監督に入って頂きました。高橋監督だからこその視点で、一般の人が見ても楽しめるという部分にも意識して、「AKB48ってこんなにガチなんだ」と再認識してもらえるような作品に仕上げてもらいました。
劇場での興行収入だけで言うと、2作目は若干数字が落ちたんですよね。ただ、パッケージセールスに関して は2作目のほうが上がってるんです。あとから口コミで「すごかったよ」と広がっていったんだなと感じました。