『Beyond the ONEDAY ~Story of 2PM & 2AM~』予告」
――そして、その後にK-POPグループ・2PMと2AMのドキュメンタリー映画『Beyond the ONEDAY ~Story of 2PM & 2AM~』になるわけですが、これはどういった経緯で決まったんですか。
古澤:常に次の企画は探しているんですが、K-POPアーティストは、ステージ上での完成された姿というのを売りにしているというか、AKB48の様に裏側はあまり見せずに「ステージで輝いている彼らを見てください」というスタンスなんですね。とはいえ、彼らも裏で必死に努力しているし、普段はステージ上とは違う表情を持っていたりします。そのギャップみたいなものが、日本にいるファンの人達は観たいんじゃないかと思いました。
――本作は「ファン」に向けた映画である一方で、「2PMと2AMはどんなグループか」ということがファンじゃない人が見てもわかりやすく丁寧に描かれていたと思います。テンポがよく閉じた感じもないので楽しめました。監督は最初にこの話をもらったときはどう思われましたか?
大道:難しい企画だなと思いました。日韓合作みたいなもんですし。ただ、今までも難しい仕事はしてきたし、まぁなんとかなるでしょと思いながら(笑)。東宝の音楽ドキュメンタリーという、一つの枠というか路線の中での劇場デビューというのはうれしかったです。もともとプログラムピクチャーが好きな職人指向なので。だから、なにより第一にお客さんのほうを向いて作ろうと思いました。
スター10人が出演する映画として様々な要素を詰め込んで整理して。もちろん自分のやりたいことも入れつつ。例えば、空撮から始まって光と影の中で10人が勢揃いするオープニング。ドキュメンタリーとは思えないハッタリというか、いかにもドキュメンタリーな始まりにはしたくなかったんです。堂々とスケールの大きいアイドル映画を目指しました。取材する中でファンの方たちの熱量に圧倒されたのも大きいですね。
古澤:大道監督はこれまで映画『悪人』や『デトロイト・メタル・シティ』などのメイキングのディレクターを手がけていて、現場で「空気になる」ということに長けている人なので(笑)。様々な瞬間や表情を取り切るプロだと思ってオファーしました。
大道:DMCのアニメ版が古澤さんとの出会いでしたね。原作側とアニメ側の対立を軸に無茶なドキュメントを作って、川村元気プロデューサーの紹介だったのですが、あの人を完全に悪役にして(笑)。メイキングとしては黒沢清監督や李相日監督などの現場に携われて勉強になりました。それで今回、僕が32歳で古澤さんが34歳。各部のスタッフも含めて30代の若手がメインだったんです。
映画界もなかなか若い人がそこまで出やすい環境じゃない中で、もちろん要にはベテランの方もいるんですけど、同世代が集まって映画を作ることができたのは感慨深かったです。そういう部分も踏まえて、2PMと2AMという若者たちが困難を伴いながら夢に向かって走り続ける活劇ドキュメントを心がけました。