また、出会い系サイトやビデオチャットで性的なデータをやりとりするだけなら不貞行為にはならないが、妻が「あんなのにハマるような夫とは一緒に暮らせないわ!」と感じたら、離婚原因になり得ることもある。そうすると不貞行為に対してではなく“婚姻関係を破綻させた賠償”として、結局は慰謝料を支払わされる可能性もあるという。

浮気のラインが法律で甘めに設定されていることについて、小川弁護士は次のように語る。「道徳的な不貞行為と法的保護に値する不貞行為は違います。あくまで法律は道徳の一部を切り出しただけで、よほどひどい行為に対して『慰謝料の形で被害者を保護してあげなければ絶対にかわいそうだ』という部分を定めているに過ぎません。法律上は問題ないからといって、何をやってもいいわけじゃないんです」。

まさにその通り。「エッチさえしなけりゃいいや」と調子に乗って遊びすぎると、思わぬしっぺ返しを食らうかもしれないことは肝に銘じておきたい。法律面でも、それ以外でもだ。

■「風俗店ならセーフ」は都市伝説だった

では逆に、浮気とみなされるのはどんな行為か。代表的な例を挙げていこう。写真やビデオなどの証拠が残っていればアウト(浮気)と判定されるケースだ。

【浮気とみなされるケース】
・風俗店に行った
・ラブホテルに行った
・異性と2人で同室宿泊した(ビジネスホテルであろうと温泉旅館であろうと)
・異性の家に宿泊した

意外なところでは、風俗店に行っただけでも浮気になるという。プロ(水商売の女性)が相手ならセーフだとか、1回きりの来店ならセーフだとかいう話をたまに聞くが、「すべて都市伝説です。プロ相手でも1回だけでも不貞行為になります」と小川弁護士はバッサリ斬り捨てる。

特に風俗店がソープランドやファッションヘルスといった、本番またはそれに近いサービスを提供しているところであれば限りなくアウトの判定を受ける。相手が素性も知らないソープ嬢だとしても、客観的に“性的な行為があった”とみなされれば紛れもない浮気なのだ。ただ、ソープ嬢は、客が結婚しているかどうかなんて知らないことが多いだろうから、不貞行為であることを知らない以上は、妻からソープ嬢に対しての慰謝料請求はできない(妻→夫には通常と同じように請求できる)。慰謝料が発生する不貞行為は、不貞であることをあらかじめ相手が知っている場合に限られるからだ。

ホテルの場合は、ラブホテルならほぼアウト。「よく裁判で『ラブホテルには入ったけど相手から相談を受けていただけだ』と主張する人がいますが、その主張が通った試しはありません」という。世間的に“ラブホ=エッチする場所”という常識があるから裁判所の判断も変わらない。また、ビジネスホテルや相手宅に泊まっても、浮気の判定を受けやすいそうだ。「どこに泊まったかという場所の問題ではなく、そこで性的行為があったかどうかが重要になります」と小川弁護士は説明する。