■法律は「夫婦関係」しか保護しない

最後に、気になっていた「法律は恋人の浮気でも保護してくれるのか?」と疑問をぶつけてみた。小川弁護士によれば「法律は原則、結婚だけを保護します。ただし条件によっては婚約者でも保護される場合があります」という。

もう少し細かくいえば、パートナーの浮気で慰謝料を請求できるのは以下の3ケース。

【法律で保護されるパートナーの関係】
・婚姻関係
・内縁関係
・婚約関係(の一部)

婚姻は普通に入籍して結婚しているケース。ごく一般的にいう夫婦のことだ。内縁は入籍こそしていないが、他人からみて「この2人は結婚しているな」と判断される実質的な夫婦関係のこと。この場合でも浮気されれば慰謝料を請求できる。ただし、結婚していても、夫婦関係が実質破綻して別居しているようなケースでは、不貞行為にならない。

婚約の場合は、その段階によって異なるという。ただ単に当事者同士が「僕たち結婚しようね」と合意しているだけだと、まだ足りない。親や友人に結婚することを伝えたり、結納を済ませたり、結婚式場の予約をしたり……こうした引き返せない客観的な事実が複数あれば、浮気された時に慰謝料請求できる可能性が高いという。

もちろん付き合っているだけ、同棲しているだけではダメ。恋人に二股や三股をかけられて悔しさのあまり「裁判起こして慰謝料請求してやる!」と考えたことがある人もいるかもしれないが、現実的には無理なのだ。

もちろん先に小川弁護士が述べたように「法律でセーフだから何をやってもいい」わけではない。たとえまだ結婚を考えていなくても、目の前にいるのは永遠のパートナーとなる人かもしれない。法律の知識は知識として頭に入れておきつつ、しっかり互いの信頼関係を築いていきたいものだ。


【取材協力】
弁護士 小川義龍(おがわよしたつ)
昭和39年生。早稲田大学卒。平成3年司法試験合格。東京四谷にある小川綜合法律事務所所長。個人や企業の法律全般を取り扱うが、離婚・男女問題、相続などの家事事件、各種損害賠償、契約、会社法務、IT関連事件などを得意とする。法律相談は初回無料。

パソコン誌の編集者を経てフリーランス。執筆範囲はエンタメから法律、IT、教育、裏社会、ソシャゲまで硬軟いろいろ。最近の関心はダイエット、アンチエイジング。ねこだいすき。