『舞台「鬼滅の刃」其ノ弐 絆』に込めた想い

また、8月31日(火)に千秋楽を迎える『舞台「鬼滅の刃」其ノ弐 絆』の稽古中の高石。(取材は2021年7月19日時点)

 「第2作なので、1作目を超える、という言い方は少し違うかもしれませんが、とにかく2作目はまた新しいものを作りたいという気持ちで挑んでいます。

前作とはお話もメンバーも変わるし、今回は“絆”がテーマになっているので、そういうものを感じて頂ける作品になればいいなと思っています」

映画の撮影と舞台の稽古、常にそれぞれの現場で、その役に切り替えて没頭できるというのが高石の強みだ。

「基本的に何かの役を自分のなかに取り込んだ瞬間、私はそっちに切り替えられるんです。日常では、直さないといけない部分でもあるのかもしれないけど、1つのことを集中して考えると、ほかに何も考えられなくなるんです。」

まさに“全集中”できることは、女優として最大の武器になるのではないかと。また、ライブである舞台と、カットごとに吟味して撮影をしていく映画の違いをそれぞれに楽しめたそうだ。

「舞台は1か月間ずっと同じメンバーで作り上げて、毎回生で芝居をします。一発勝負だから、そこがとても刺激的で、また台詞などを間違えてはいけないという怖さと緊張感が常にあります。

もちろん映画でも同じように緊張感はありますが、基本的にはシーンごとに自分のお芝居を見せて演出を受け、『それは違う』となったら、そこからやり直すことができる。

正解への導き方が舞台とは違うなと。怖さや受ける刺激は違うけど、私は映画も舞台も両方ともすごく好きです」

着々とキャリアを積み、夢へと邁進してきた高石。幼少期にドラマ「花より男子」(05)を見て、井上真央に憧れたことがきっかけで女優を目指してきたが、今に至るまでに、立ちはだかった壁などはなかったのだろうか。

「たぶん壁にぶつかっていても、見て見ぬふりをしています(苦笑)。壁だ!と認めてしまったら終わりだと、どこかで思っているので、ずっと楽しくやろうと努めている感じです。もちろん辛いこともあるけど、そこは考えないようにしてきました」

そんなポジティブシンキングの源は、どうやら家庭にあったようで、小さい頃から家でネガティブな言葉を吐かないようにという教えを受けてきたと言う。

「小学3年生くらいの頃、お母さんに『疲れたってどういう意味?』と聞いたらしいんです。家では誰も使わない言葉だったので。おそらくそういう家庭で育ったからなのか、あまり弱音を吐かないようになったのかもしれないです。

もちろん悩みがちな部分もあるんですが、思考がそっちに気をとられると、そのまま“悩んでいる自分”になってしまう。だから、必死に考えないようにします。イメージ的にはモヤモヤを4分割に切って、後ろに吸い込ませるような感じかと(笑)」

とはいえ、コロナ禍で舞台が延期になったり、撮影の延期を余儀なくされたりと、心の葛藤も容易に想像がつくが、「それも切っていきました」という高石。

「そういう悔しい想いもきっといつかお芝居につながるのかなとは思ったりします。将来につながる何かを得ているんだと切り替えるようにするしかなかったです」

将来的に目指したい女優像はこの人!

将来的に目指したい女優像として、井上真央はもちろん、宮崎あおいも目標に掲げている。

「宮崎あおいさんのお芝居にすごく憧れています。私はこれまで、原作ありきのキャラクターを演じることが多かったし、今回のちさとも元気な時は超元気なアニメっぽい要素のある役柄でした。

だからいつか、そういう要素が一切ない超絶“人間らしいお芝居”もやってみたい。また、人間としてはカッコいい女性になりたいです」

『ベイビーわるきゅーれ』 7月30日(金)公開 ©2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会

常に向上心を持ち、前進してきた高石。いよいよ公開となるった『ベイビーわるきゅーれ』については「アクション映画、殺し屋映画ですが、コメディ映画でもあるし、いろんな要素が詰まった作品になっています。

アクションと日々のだらだら感のギャップも楽しんでいただきたいです」とアピール。

『鬼滅の刃』の舞台での活躍も含め、女優・高石あかりが、大いに飛躍する夏となりそうだ。

『ベイビーわるきゅーれ』は7月30日(金)より全国順次公開中。

※高石の「高」ははしごだか。禰豆子の「禰」は「ネ(しめすへん)」が正式表記となります。

映画とお酒をこよなく愛するライター、時々編集者、なんちゃってカメラマン。名古屋の女性向けエリア情報誌でグルメ、旅物、珍スポット、珍体験特集まで幅広くこなした後に上京し、フリーに。現在は、映画のインタビューや記者会見などをメインに執筆。マイ・ベスト・ムービーと座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』