野球を観る際、この椅子に座ってひいきのチームを応援していただきたい
ーーこの取り組みに対し、どんな反響がありましたか?
山中 私自身が明治大学卒業なので、知り合いや明大のOBに告知をしたところ、何名かがご購入くださいました。
「良い取り組みだ」「過去に使われたものを、新しいものに生まれ変わらせるというのは素晴らしい」といった好意的なお声を多くいただきました。
ーーどんな風にお使いいただきたいとお考えですか?
山中 一番は家で六大学野球を観る際、このスツール、チェアに座ってビールでも飲みながらひいきのチームを応援してもらうのはすごく良いのではないでしょうか。
実際、私の明大の先輩では、そういうイメージで買われた方もいました(笑)。野球ファンの方は、野球観戦のお供にお使いいただければ嬉しいですね。
一点ごとの丁寧な修理から、Apple本社の備品まで!
ーーマルニ木工では「工芸の工業化」の指針のもと、様々な家具を生産する一方、ユーザーに寄り添い家具の修理も行っていると聞いています。
山中 修理はビジネスというよりも家具を長く使っていただきたいという活動の一環で、非常に大事にしている部分です。
93年もメーカーをやっていると、何十年にわたってお使いいただいているお客さまがいらっしゃいます。先日は70年前の弊社の家具が修理に戻ってきました。本当に驚きましたが、同時にありがたく思いました。
弊社の家具はけっしてお安いものではありません。しかし一度購入していただくと家族の一員のような存在になるものです。
まさに明治神宮野球場のスツール、チェアと同じようにご家庭での様々なドラマが刻まれているんですね。
その意味でも、長く大事に使い、次の世代へ受け継いでいくという視点でも、家具の修理はしっかり継続して行っていきたいと思っています。
ーーマルニ木工の今後の展望をお聞かせください。
山中 「明治神宮野球場メモリアルグッズ」のような歴史的背景を持つアイテムを再生していく取り組みは今後も継続していきたいです。
そして、現在私たちは、大きな指針として「世界の定番」を目指すということを掲げており、10年ほど前から輸出を始めました。
大きなトピックスだったのが、カリフォルニア州にあるApple本社の新社屋に弊社の「HIROSHIMA」という椅子を数千脚納品させていただいたことです。
このことは、何より従業員の自信と誇りにつながったことが嬉しかったです。
今後も日本のものづくりの視点から、世界中の人たちから愛されるような家具を作り続けたいと考えています。
マルニ木工が手掛けた「明治神宮野球場メモリアルグッズ」のスツールは、8月31日(火)までの限定販売ですので、なるべく早めに注文するほうが良さそうです。