「仕事が激務でどうしようもないときに、いきなり取引先の女性から告白されました。
社内恋愛というか仕事に恋愛は持ち込みたくないといつも思っていた僕は、そのときもまず“困ったな”と感じてしまい、その女性に恋愛感情はなかったですね。
業務が忙しいのは知っているはずなのに告白してくるのもちょっとストレスだったのですが、たぶん疲れた顔で対応する僕に
『大変なときに話せる人がいるのって、いいことだよ。
とりあえずでいいから付き合ってみない?』
と彼女が言ってくれて、『それでもいいなら』と交際がはじまりました。
“付き合うといっても時間が作れないな”と思っていたら、彼女は何も言わないんですよね。
会いたいとかデートしたいとか誘われることがなく、日に三通ほど届くLINEは『煮詰まったら外の空気を吸うのがいいよ』とか『今日も本当にお疲れさま』とか、他愛ないことばかりで。
それで僕も気が抜けて、ぽちぽち返信するけどそれにもしっかり返信をくれることにほっとして、気がつけばやり取りが楽しくなっていました。
仕事ばかりでほかに気が向くことがなかったけど、彼女と付き合いだしてからはLINEや夜の電話がいい息抜きになったと思います。
少し落ち着いたときに、『恋人らしいことができなくてごめん』とLINEで送ったら
『忙しいのは知っているから大丈夫。
だから支えたいと思ったし、誰かいれば気分転換になるでしょ?』
とあっさり返ってきて、“ああ、見てくれていたんだ”と思うとすごくうれしくなって。
時間ができたら食事をごちそうしよう、彼女が行きたいと言っていたお店も行こうって、先の楽しみを考える自分が新鮮で、こんな僕を好きになってくれたことに感謝しています。
彼女が最初に言ったとおり『話せる人がいる』って幸せなことだと思うし、とりあえずでもいいと提案してくれた彼女はずっと大事にしたいですね」(32歳/営業)
付き合う前は自分の負担を気にしていたけれど、彼女の深い思いやりに触れて心を開いていった男性。
忙しいなかでのお付き合いはなかなか乗り気になれませんが、多忙だからこそ恋人の気遣いに愛情を感じ、感謝します。
とりあえずのスタートが、気がつけば“お返し”を楽しみにする交際になっていたなんて、幸せですよね。