35歳以降、いわゆる「ミドサー」と言われる年齡に差し掛かると、独身で先のある男性との出会いがめっきりと減り、「結婚どころか彼氏もできないのでは」と悩む女性は多く見聞きします。

出会ったところでその人と必ず結ばれるとは限らず、関係の終わりを繰り返しては自分に自信をなくしていくのも、ミドサー以降の女性によくあることです。

恋愛はいくつになってもひとりではできないもので、35歳からの恋愛が成功する女性たちを見ていると、「急がない」が成就の鍵であることに気が付きます。

ある女性は、どんな自分でいることで幸せな恋愛を手に入れたのでしょうか。

「時間を無駄にした」30歳からの私

美咲さん(仮名/36歳)は、大手の食品会社で営業サポートのような仕事をしています。

中途採用から正社員として勤めだして10年、彼氏がいたときもあれば、結婚に悩んだ時期もあったといいます。

「30歳までは、がむしゃらに仕事するなかで社内の男性との出会いもあったし、恋愛を楽しめていました。

仕事も恋愛も集中できていたし、当時お付き合いしていた彼氏とこのまま結婚するのかな、と思ったときもあったのですが……」

順調だった日々が変わってしまったのは、その彼氏が元カノと浮気をしていた事実と、多忙のあまり無理をしすぎて体調を崩したことが原因です。

「一緒にリングまで見に行きました」と話す彼氏が、その裏で元カノには「別れたいのに今の彼女が離してくれない」とLINEで送っていたこと、仕事では営業のミスをカバーするために理不尽を堪えて業務に尽くしていたことが、一気に美咲さんの体にダメージを与えました。

「食欲はないしお風呂にも入りたくない、出社も嫌だけど部屋にいても彼氏への恨みばかりで眠れない、そんなある日、出勤途中で事故を起こしました」

美咲さんの状態を聞いたお医者さんは、「適応障害」の手前だと診断を下したそうです。

事故そのものは軽い自損の処理で済み、保険会社のおかげで損害もきちんとカバーしてもらえたそうですが、「ハンドルを握ることも怖くなった」という美咲さんは、会社に長期の休みを申請します。

それから三ヶ月、別れた彼氏への憎悪と業務への葛藤で苦しんだ美咲さん。

それでも退職を考えなかったのは、

「ここで辞めてしまったら、私は自分を諦めたことになると思いました。

やっとの思いで掴んだ中途採用だったし、部署はそのうち配置転換もあるので、今を乗り越えればまた穏やかな日が戻ると、やみくもにそれだけを信じていましたね……」

何とか会社に復帰できた美咲さんは、上司や同僚の助けもあり、その後は業務の量を減らして勤務を続けたといいます。

「当時のみんなには、今でも本当に感謝しています。

でも、自分のことでずっと手一杯でとても恋愛どころではなくなって、それから二年くらいは恋愛どころではなかったですね」

「時間を無駄にした」、という実感が強かったと話す美咲さんは、この間に同僚たちが結婚していくのを見送り続けます。

周りを見れば独身の男性社員も減っていき、外での出会いに積極的になれなかった美咲さんは、

「気が付けば、彼氏なしのミドサーになっていました」

と、34歳になったとき、「恋愛をしていない自分」に焦りを覚えます。