都心に癒やしの山小屋? 店内の薪窯で焼く絶品グルメ

屋号は四番町にあることに由来する。けれど、都心にいることを忘れさせてくれる山小屋風な雰囲気が人気の秘密だとにらんでいる。

山小屋風な店舗入口からパン工房(右側)を覗くことができる/No.4

クーラーを配した多目的トイレがあるので、小さな子ども連れのママも安心して食事ができるのも『No.4』の魅力だ。

イートインコーナー/No.4

店内で食事をしていると、温かくておいしそうな香りがただよってくる。店内の薪窯で『マルゲリータ』を焼いているのだ。

ピッツアを焼く薪窯/No.4
ピッツアを焼く薪窯/No.4

消防法の関係で薪窯を設置できる店はかなり限られている。

この店のマルゲリータはまだ食べたことがないが、薪窯ならではの芳しい香りも愉しめるはずだ。

薪窯で焼いたマルゲリータ(980円) /No.4

もちろんパンを買って帰ることもできるが、パンの話をする前に川原シェフの人となりを紹介したい。

哲学を学んだパン職人がつくる、「湯種」の絶品パン

パン職人として研さんを積む以前、中央大学で哲学を学んだ。その経験がいまの仕事に大いに役立っているといえるだろう。

パンと哲学。まったく関係ない世界のようだが、哲学から得た知識とスタンスでパンを見つめ、そのレシピを日々考えているというのだ。デカルト風にいえば、「我パンを思う ゆえに我あり」である。

「これまであたりまえだったことを疑うようにしています。一般的ではないからだめなのではなく、やってみないとわからないし、可能性もゼロでもないはずです」

ベーカリーシェフの川原司さん/No.4

パン好きだった川原青年は大学の近くにあったパン屋でアルバイトをはじめ、大学卒業後、パン職人への道を歩き始めた。

そして現在。『No.4』のベーカリーシェフとしてこれまであたりまえだったことを疑った結果、ほとんどのパンを湯種で作りはじめた。湯種とはどんな製法か。川原シェフに説明してもらおう。

「小麦粉にお湯を加え、もちもちとしたお餅のような食感の生地を作ります。それをひと晩熟成させ、甘みを引き出したものに酵母を入れて醗酵させた生地を焼いています」

手間がかかることから、湯種を採用するパン職人は少ないそうだ。

「うちのパンは茶色いものが多いんです。ねかせることで甘みが出た湯種の生地を焼くと糖分が焦げてキャメル反応を起こし、茶色くなります」

先に紹介したフレンチトーストは、メニュー名にあるように『湯種ブリオッシュ』を使っている。湯種ブリオッシュはテイクアウト可能だ(フルサイズ 750円 /ハーフサイズ 380円)。

8月に来た際、このパンを買って帰り、トーストしたところ、バターの香ばしい香りを愉しませてもらった。

テイクアウトした湯種ブリオッシュでフレンチトーストを焼いている人も多いそうだ。