朝食に食パンを食べることが多い。
てっとり早く腹を満たしてくれるから、という単純な理由で食パンを選んできた。
ところが、幸せにしてくれるから食べたい食パンがあることを初めて知った。
「レブレッソ」の食パンである。
大阪で人気の食パン専門店「レブレッソ」の目黒武蔵小山店が、7月にオープンした。
バケットが好きで、あちこちのフランスパンを食べ比べてきた。
けれど、食パンに執着したことはまったくない。近年、食パン専門店があちこちにオープンしていることは知っていたものの、腹を満たすだけの食パンを〈わざわざ買いに行きたい〉と思ったことはなかった。
しかしながら、バターを載せた、厚切りトーストがレブレッソの名物だというので、この店が気になっていた。厚切りトーストの食感は、いつも食べている6枚切りと、何がどう違うのか。
「レブレッソ目黒武蔵小山店」にはイートインコーナーがあり、自家製パンを使った15種類の料理(300~620円)を提供している。
その中から食べてみたかった「厚切りトースト」(380円)を頼んだ。
4センチ厚に切ったパンをオーブントースターで、きつね色に焼いてくれる。バターを塗ったら、クロスに切れ目を入れ、もう一度バターを載せる。そのバターをバーナーでさっと溶かしたのが、レブレッソの厚切りトーストだ。
レブレッソの食パンは、もちもちで、ふわふわがキャッチコピーだ。
どれだけもちもちふわふわなのか、厚切りトーストで実験してみた。
親指と人差し指でパンをつかむ。弾力も復元力も申し分がない。おまけに、パンにしみ込んだバターが、しっとりと浮き上がってくる。子どもの頃から、溶かしバターをふくんだトーストやホットケーキが大好物だった。見ているだけで嬉しくなってくる。
〈ちぎって食べるか、かじりつこうか〉と考えていたら、ハチミツが一瓶テーブルに届いた。
「好きなだけハチミツを塗ってください」。声の主は、店長の大山陽一さんだった。
まずはバターだけで食べてみた。甘みをふくんだパン、塩気をふくむバター。パリッとした歯ごたえ。パンに、幸せが凝縮していた。一枚のパンが、ささいな幸せかもしれないが、笑顔(目尻が思いっきりさがっていたはず)にしてくれることを初めて体感した。
「バターはよつ葉です。ハチミツもお好きなだけ使ってください」
好きなだけと言われても限度がある。とはいえ、できる限りつけて食べてみた。
ハチミツはイタリア製のアカシア。くどくない甘さで、パンの味を引き立ててくれる。
幸せにしてくれるパンを、もう一枚頼んだ。
「塩バターミルクジャム&アーモンド」(420円)。
オリジナルの塩バターミルクジャムをトーストに塗り、その上にスライスアーモンドをかけた一品。アーモンドのサクサクとした食感。塩バターミルクジャムの心地良い甘さ。食パンには、デニッシュ的な食べ方もあることを改めて教えてもらった。
せっかくなのでもう一品。ランチにオーダーする女性が多いという「アボカド&ベーコンシーザーサラダ」(550円)。
レブレッソのようなレストランではない店では、カット野菜を使うものだと思っていた。ところが、この店は、ニンジンも玉ねぎも店内で調理しているというのだ。
「アボカド&ベーコンシーザーサラダ」には、パルメザンチーズがかかっている。筒に入った、いつ加工したものだかわからないチーズではなかった。
ブロックで仕入れたパルミジャーノ・レッジャーノ・チーズを、注文毎に専用の道具でおろす。おろしたてなので、パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズの香りもふわふわした食感も愉しませてくれる。
かなりボリュームがあるが、かぶりついた。カトラリーの用意もあるので、女性は上品に召し上がったほうがいいかも。