ミラベルの魔法は“自分で道を切り拓く強さ”
とは言え、アフレコ初挑戦の斎藤にとって、声だけの演技と、複雑で躍動感のある楽曲を歌いこなすのは困難も多かったようだ。
「最初に試しで収録した時は緊張してしまって、ミラベルがまったく元気がないように聞こえて……不安を抱えた状態でスタートしました。
でも、ミラベルと自分は似た部分があるんだと思うようになってからは自然と緊張も解けてきて、ミラベルが姉とケンカする場面でも、自分が姉とケンカしてきた時のことを思い出しながら演じることで、リアリティのある演技ができるようになりました。
歌はここまで明るくて活発な楽曲を歌ったことがなくて、ラテンの楽曲にもなじみがなかったのですが、リズムとグルーヴを大切にして、身体全体でリズムをとりながら楽しく歌うことを大事にしました。
というのも、早口で歌わないといけない場面でも、自分が楽しんで歌うと、まったく苦しくなく聞こえるんです。だから、歌のテクニックよりも歌詞に乗せた感情や、歌詞の意味が聴いている方にまっすぐ届くことを考えて歌いました」
本作ではミラベルが行動することで、危機を迎えていた家族はお互いを見つめ直していく。
本作の監督バイロン・ハワードは「ミラベルは魔法を持っていない。でも、そんな彼女が一番の魔法を持っている」と説明するが、斎藤は「ミラベルの持っている魔法は “自分で道を切り拓く強さ”だと思います」と笑顔をみせる。
「すごく芯が強い子で、周囲とのハンデがあっても、それをカバーするだけの明るさと芯の強さと生きる力がある。誰にも負けないパワフルな女の子なんです。
きっと彼女は幼い時から“自分だけ魔法を持っていない”という壁に直面していて、彼女なりにそれを乗り越えようとする中で、彼女の芯がどんどん強くなっていったんだと思います。
でも、本人はそのことに、その強さに気づいていない。だから家族から“えっ、そんなこと考えてたんだ”って言われちゃうんですよね(笑)。
この映画は家族の物語ですけど、学校の中であっても、仕事の場でも、周囲にすごい人がいると自分と比べてしまうことはあると思うんです。
でも、”自分だからできることがあるんだよ”ってことをこの映画を観て気づいてもらえたらうれしいですし、ミラベルがそんな人の背中をそっと押してあげることができたらいいなと思っています。
私自身も“他の人には出せない自分の持ち味ってなんだろう?”って考える時には必ずこの映画を見返すことになると思います。
いまではミラベルは自分の分身のような存在だと感じているので、これからも何か壁にぶつかった時には、ミラベルの強さや前を向く力が私の支えになってくれると思います」
映画『ミラベルと魔法だらけの家』は公開中。
※「ぴあアプリ」では魔法とミュージカルで描くディズニー最新作『ミラベルと魔法だらけの家』特集を掲載中